きもの お着楽ざんまい

着物を愛する人が着物の基本を踏まえたうえで、基本に縛られることなく応用し、個性を発揮し、何よりも着物を大いに楽しんで欲しいと願います。

帯を巻く方向は右巻きと左巻きどっちが正しいのか 関東と関西の違いは?

投稿日:2019年1月15日 更新日:

着物を着て帯を結ぶとき、
左巻きに回すのか右巻きに回すのか、
どっちが本当なのかと迷ったことはありませんか?

着物の着付けを習うとき、
教えてくださる方や、教わる着付け教室によって、
帯の巻き方は色々です。

関東式と関西式ではどのようなところが違うのか、
帯の巻き方についてまとめてみました。

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帯を巻く方向は右巻きと左巻きどっちが正しいのか

『帯を巻く方向は右巻きと左巻きどっちが正しいのか』
これについては、
『どちらでもいい』というのが答えになります。

着物のすそ合わせは、
『右前に着る』ということが法律で決まっています(?)

『着物とは何?歴史と移り変わりとルールの由来とは?伝統文化と特徴は?』
というページの、
『着物について 歴史と移り変わりの中でルールとは?』に書いています。

しかし、帯の回し方の歴史やルールについては、
決められたものはどこにも記されていません。

もしも帯の回し方について書かれている文献があるとすれば、
それは現代になってから、何らかの意図をもって書かれた、
後付けとも云うべきものだと思います。

衣服の歴史というと、
御殿様やお姫様、お侍さんやお公家様などの偉い方々は、
歴史書や時代小説にも描かれていて、
どのような格好をしていたかもわかりますが、
一般庶民がどんな格好をしていたかはあまりよくわかりません。

前で打ち合わせて着るという日本の着物ですが、
小袖という形で着ていた時、
帯は、着物の前が開けないようにするためのもので、
それは帯というより“紐”状のものだったようです。

幅の狭いひも状の帯で、着物の前を合わせるとき、
それは右回りでも左回りでもどちらでもよく、
着る人の勝手の良い形で締められていたわけです。

江戸時代の帯で『三尺帯』というものがありました。

三尺帯(さんじゃくおび)は男物の帯の一種で、
鯨尺でいう三尺の長さ(約1m14㎝)しかないためこの名があります。

江戸時代の庶民が浴衣などを簡便に着るために用いた帯のことで、
一説には三尺手ぬぐいを折って帯に用いたのが起源ともされています。

長さが三尺しかないために、
今の角帯のように手に折り返しをつくらず、
一重に締め、駒結びなどで結んでいたということで、
この場合は、右回しも左回しも関係ありません。

江戸時代になり、女性が髪を結い上げるようになると、
襟を抜いて着るようになり、
小袖の袖付けに身八ツ口が作られ、振りが開けられるようになります。

庶民の女性は、小袖の袖付けが少なくなると、段々と帯幅が広くなり、
帯自体に装飾性が求められるようになって行きました。

しかし帯幅が広くなったといっても、
布地自体が貴重なものでしたので、
庶民が何枚も着物を持っているということは考えられず、
帯も今の半幅帯のようなものでした。

帯幅が広くなった時、
一周目に回す帯を、
さて、どっちから回すか…となったのでしょうか。

一つ言えることは、半幅帯を前で結んで回すとき、
着物の前合わせの方向(左から右)へ向かって回せば、
襟元が崩れにくいので、
関西手(時計回り)の方が廻しやすいということです。

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帯を巻く方向は右巻きと左巻きどっちが関東でどっちが関西?

帯をまく方向については諸説ありますが、
左から右に流れる時計回りを関西式の関西手(かんさいで)、
右から左に流れる反時計回りを関東式の関東手(かんとうで)というように、
伝えられています。

では何故、
時計回りを関西式、反時計回りを関東式としたのでしょうか。

それは、着物の着付けを習ったときに、
時計回りを関西式、反時計回りを関東式という風に、
教わってきたからだと思います。

右利きの人と左利きの人では、
動きの上で勝手の良いほうがあると思いますが、
ほとんどの着付け教室では、
自分で着物を着るときの帯結びは、反時計回りで教わります。

これは帯の一周目を巻いて締めるとき、
『脇を締めて右手で引く』という動作が、
右利きの人にはしやすいからではないでしょうか。

しかし、着物の着付け教室というものができたのは、
昭和二十年代後半で、今から六~七十年くらい前のことです。

江戸時代やそれ以前の庶民にとって、着物というのは日常着ですから、
誰かに着せてもらうというものではなく、
親や周りの大人が着ているのを見て覚えるか、教えてもらうものでした。

着物を着るということは、
食べ物を食べるとか、トイレに行くというような、
誰でも自然とする行動だったので、
深く意識して行っていた行動ではなかったのではないでしょうか。

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パンツを履くとき、右足から履くか左足から履くかというような、
大して気に留めることでもなく、自然と行っていたことで、
それについての正解はないのではないでしょうか。

きっと帯の回し方も、どっち周りが正しいとか、
この回し方は関東式だとかいう事も、考える事などなかったのでしょう。

私も自分が着物を着るとき、帯結びは反時計回りで結んでいますが、
生まれも育ちも京都なので、
人さまに着物を着せる時は、関西手の時計回りで帯を回します。

子供のころから母が毎日着物を着ていましたので、
私もいつの間にか自分で着物を着ることができました。

和裁を習って、自分で自分の着物を縫い上げた時、
今一度着付けをきちっと習ってみようと思い、
着付け教室へ通いました。

そこで自分が着るときの着物(自装)は、
着付け教室で教わった反時計回りの帯の回し方になりました。

着付け教室で人に着物を着せる着付け(他装)を習い、
人に帯を結ぶときも反時計回りで結んでました。

その後、舞踊専門の衣裳着付けの仕事をするようになり、
関西手の時計回りの帯の回し方に変わっていきました。

踊りの流派によっては、御家元が関東の方の場合、
反時計回りの帯結びを推奨されることがあり、
また、江戸物の演目の衣裳は関東手で結ぶこともありました。

これは一つのこだわりだと思うのですが、
いずれにしても、帯の回し方にルールはないのですから、
自分が着物を着て楽しむという場合、
自分のやりやすい方法で帯結びをすればいいと思います。

帯を巻く方向の右巻きと左巻き 関東と関西の違いは?

All Aboutの
『こんなに違う!関東と関西の着物好み』というページに
体を軸にして時計回りに巻く巻き方を「関東巻き」、
反時計回りに巻く巻き方を「関西巻き」と呼ぶことが多い、
と書かれています。

しかし、私が教わってきたのは、関西が時計回りで、
関東が反時計回りという帯の回し方です。

また、関東では武士文化だったため、
刀を差す時に引っかからないようにするために、
この巻き方(関東巻き)をしていたのが庶民に広がったという説などが、
主な理由と書かれています。

今は刀を差すことなどないと思いますが、
たとえば男物の角帯に、もしも刀を差すことがあったら、
一周目の帯の下に差す場合、
反時計回りの方が引っ掛かりにくいと思います。

ということで、
関東の武士文化で帯の回す方向が決まったとするのなら、
関東の帯を回す方向は、反時計回りということになります。

テレビや映画で時代劇を見るとき、
ちょっと注意して帯の結び方を見てください。

『江戸のxxx』といった時代劇でも、
京都の東映太秦撮影所で撮影されているものがたくさんあります。

町娘や女将さんが締めている帯の結び方に『角だし』という結び方があり、
手先が左側に出ているものは、関西手で結ばれた帯です。

男物の着流しで、貝ノ口に結んだ帯の手先が左上に上がっているものも、
関西手で結ばれた貝ノ口です。

東京の撮影所で撮影されている時代劇は、関東手で結ばれていますが、
これらは、
担当されている衣裳さん(着付け師さん)によっていろいろです。

NHKの大河ドラマなどは、時代考証や衣装考証がしっかりしているので、
江戸のものは関東手、浪速のものは関西手で結ばれています。

歌舞伎の舞台でも、
演目によって関東手と関西手は使い分けられていますが、
歌舞伎役者さんは、ほとんどが関東に住んでおられるので、
ご自分のお着物は関東式が多いようです。

帯の柄付けの移り変わり 全通柄・六通柄・お太鼓柄その形の種類と帯結び



あとがき

関東風と関西風、
それぞれには拘りがあり、プライドがあるので譲れません。

関東風と関西風では、
なにかにつけて対抗意識を持っているようです。

自分の生まれ育った地域に、愛着があり、誇りがあり、
自信を持っているので、
『うちが一番!』と、それぞれが思っています。

関東風や関西風だけでなく、
よそさんを受け入れにくい京都人は、
『ほんま、よろしおすなぁ~』といいながら・・・・・

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