着物を着るとき、
どの着物にどんな帯を合わせると良いのか難しいですね。
帯にはいくつかの種類があり、
着物によってに相応しい帯があります。
室町時代から発達してきた帯は、時代とともに変化し、
現代のような形になりました。
帯の名称や使い分けは、帯幅や帯の仕立て方、
時には素材や用途によって異なります。
現在、主に使用されている帯、
丸帯・袋帯・名古屋帯・袋名古屋帯・半幅帯・兵児帯の五種類をご紹介します。
丸帯
丸帯は、帯の中でも最も格の高い帯です。
糸錦・金襴・琥珀錦など、全体に模様を織り出した、
広幅(約70㎝)の帯地を半分の幅に折って仕立てられ、
長さは一丈一尺(約4m20㎝)程で織られていて、
表裏が同じ柄になる豪華な帯です。
昔のものですと4m以下のものもあります。
始まりは江戸時代で、当時は大きくなった髪型とバランスをとるために帯幅が広くなり、
帯結びも大きくなりました。
丸帯はどんな結び方をしても柄が出るので、
豪華な感じが出せていいのですが、
なんといっても重くて硬いので、
今では希少価値になり、
主に花嫁衣装のお色直しに、飾り結びを結んだり、
芸妓さんの正装用に用いられる帯です。
舞妓さんのだらり結びにする帯も丸帯ですが、
垂れ先側に家紋が入っていることが特徴で、
だらり帯に結ぶので、長さが5m程もあります。
黒留袖・色留袖に正装用として二重太鼓に結べますし、
振袖の飾り結びに丸帯で結んでもいいのですが、
重くて硬いのであまり使われていません。
袋帯
最も一般的なフォーマルの帯です。
丸帯に代わって、明治時代以降に考案された袋帯は、
以来、正装用の帯として需要の多い帯です。
袋状に織られていたことから、袋帯と名付けられましたが、
現在では表地と裏地を別々に織って、両端を縫い合わしたものが多くなりました。
縫い合わせて作られた帯を『縫い袋帯』と呼ばれ、
袋状に織られた帯を『本袋帯』と区別して呼ばれています。
袋帯は一般的に、幅約8寸2分(約31㎝)、
長さは一丈一尺(約4m20㎝)以上で織られています。
帯の産地、京都の西陣織工業組合の規定では、
長さが4m16㎝以上とされています。
最近織られているものは、
一丈2尺以上あるものが多くなっています。
この長さがあることで、
二重太鼓や振袖の時の飾り結びが出来ます。
袋帯には金糸銀糸を用いた正装用の豪華なものが多く、
柄も、
一重目の胴に巻く部分に柄がなく、六割程柄がある六通といわれるものと、
帯全体に柄のある全通のものがあります。
六通の帯の手先にも柄の部分があるのですが、
手先の柄は50㎝以上あった方が、いろいろな飾り結びが楽しめます。
できれば振袖の飾り結びをするときは、全通のように柄の多い方が、
結んだときに無地場が出ないので美しく結びあがります。
緞子地や錦地の袋帯は、生地がしっかりしているので、
帯芯を入れない方が結びやすいです。
全体が筒状になっているので、両端の無地の部分を中へ折りこんで、
かがっておきます。
黒留袖・色留袖の正礼装、訪問着などの準礼装用には、
二重太鼓に結びます。
振袖の時は、ふくら雀や立矢、御文庫などのほか、
いろいろな飾り結びが結べます。
略礼装として、
色無地や付け下げ訪問着、江戸小紋に二重太鼓を結ぶことができます。
名古屋帯
大正時代に考案されて以来、最も女性に親しまれている帯です。
仕立てる前の幅は9寸(約34㎝)なので、
九寸、または九寸名古屋と呼ばれています。
大正時代に名古屋の女学校の創始者が、日常に締めていて商品化されたもので、
この名前が付きました。
仕立てる前の長さは一丈二尺~一丈二尺五寸程あって、
反物のように丸巻きで販売されています。
垂れ先側を1m程折り返してお太鼓の部分にし、
残りを半分の幅に縫って、胴に巻く部分にします。
帯心を入れて仕立てるのが『名古屋仕立て』と呼ばれる一般的な帯の仕立てです。
名古屋帯も、金糸銀糸や箔を使っているものは、
付け下げや色無地などのセミフォーマルとして締められ、
それ以外の染めや織りの帯は、紬や小紋などのおしゃれ着に合わせます。
名古屋仕立ての帯は、帯幅が固定されているので、初心者には締めやすい帯ですが、
背の高い人や大柄の人には、胴の部分の帯幅が狭く感じるかもしれません。
『松葉仕立て』という仕立て方の名古屋帯は、
手先の15㎝~20㎝だけが半分の幅に綴じられているので、
前幅を調節して結ぶことができます。
『鏡仕立て』という仕立て方の名古屋帯は、『額縁仕立て』ともいわれ、
垂れ先は普通の名古屋帯と同じように芯を入れ、1m程折り返してあるのですが、
手先の部分を垂れ先のように少しだけ折り返し、
裏全体に別布を貼ります。
こちらも前幅を調節できます。
袋名古屋帯
芯なしでかがるだけの手軽な帯です。
袋名古屋帯には、いくつも名称があり、
八寸、八寸名古屋帯、かがり帯などと呼ばれています。
名古屋帯と同じように、仕立てをする前の帯は丸巻きで販売されていますが、
綴れ織り、紬織り、博多織などの地厚の織り帯なので、
仕立てるときは芯を使いません。
『袋』という文字が付いていますが、
袋帯と名古屋帯の良いところをとったという意味で、
袋名古屋帯は袋状にはなっていません。
一枚仕立ての(単衣)の帯です。
昭和初期に考案され、
軽さと締めやすさで人気になり、普及しました。
綴れの帯は、訪問着や付け下げ、色無地などに締めると、
セミフォーマル感覚になります。
名古屋帯も袋名古屋帯も、
全通柄のものと、太鼓柄と呼ばれるものがあります。
全通柄は帯全体に柄があるものですが、
太鼓柄というのは、帯を締めた時(お太鼓に結んだとき)、
胴の前と、お太鼓の部分に柄がくる帯のことです。
半幅帯
帯結びが楽にできる幅の狭い帯です。
帯幅は時代とともに変化してきました。
十二単に用いられたのは幅二寸(約7.6㎝)ですが、
能装束の帯幅は三寸(約11.4㎝)、
桃山時代から江戸中期に流行した名護屋帯は太い丸打ちの組み紐です。
江戸中期から次第に帯幅は広くなって、
明治期には八寸幅が主流になりました。
一般的に八寸以下の帯を、細帯とか半幅帯といいます。
帯幅は半幅帯と呼ばれる四寸幅のほか、
六寸幅や三寸幅もあります。
こうした帯は、帯の材質によって、
浴衣から小紋、紬などにも締められます。
さらに、錦織や緞子、唐織などの豪華な半幅帯は、
訪問着や色無地に合わせて、気軽なパーティーにおすすめです。
兵児帯
一枚の布のような気軽な帯です。
最も簡単に結べる帯が、一枚の布のような兵児帯です。
元々男性や子供の普段着に締める帯で、
柔らかい布の両端をかがっただけのものです
最近は浴衣の帯として注目され、素材も様々です。
張りのある素材の兵児帯は、
帯幅を半分に折ってから用いると楽に扱えます。
帯結びは、
男女とも片わな結びや諸わな結び(蝶結び・リボン結び)が一般的です。
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あとがき
着物をより一層引き立ててくれる帯ですが、
昔から、『着物一枚 帯三本』といわれるように、
着物は帯次第で何通りもの楽しみ方があります。
活かすも殺すも帯びしだいなのです。