『きもの一枚に帯三本』とよく言われますが、
とくに小紋や紬のようなおしゃれ着には、
帯にもお洒落を楽しみたいものです。
お洒落着のきものをおしゃれにするもしないも、
帯次第といったところでしょうか。
街着として楽しむオシャレ着物に締める
帯の仕立て方を紹介します。
小紋や紬などのお洒落着にコーディネートする染め帯の、
お洒落ポイントは季節感と染の技法です。
季節感の表現法や、代表的な染めの技法をお伝えします。
染め帯のコーディネート 洒落袋帯と名古屋帯
染めの帯は、礼装などには用いず、
あくまでおしゃれ感覚を楽しむ帯とされています。
そして染め帯にコーディネートする着物は、
お洒落着ですから、小紋や紬など多彩な組み合わせができるので、
一枚の着物が何通りもの楽しさを表現してくれます。
お洒落着の小紋の着物も、小さい柄から中小紋、
花柄もあれば縞や飛び柄、幾何学模様と多種多様です。
また、紬の着物も、日本全国の地域ごとに独特の織物があり、
それぞれに趣向を凝らした織りの技法や絣の括り方があります。
それらお洒落着のきものに帯を合わすとき、
着物をメインにするか、帯にポイントを置くかは重要です。
染め帯の素材には、塩瀬・縮緬・羽二重・綸子・紬・絽などの絹物のほか、
ジャワ更紗などの木綿もあります。
🌸名古屋帯仕立て
胴に巻く部分とお太鼓の部分の仕立て方に特徴があります。
最も一般的なものは「なごや仕立て」と呼ばれるもので、
お太鼓の部分、垂れ先から三尺を幅八に、
胴に巻く部分は、幅を半分に折って仕立てる方法です。
この仕立て方は、はじめから胴の部分が二つに折ってあるので、
初心者でも手軽に扱うことができます。
🌸鏡仕立て
胴に巻く部分を開いた状態に仕立てる方法で、
通称「開きなごや」とも呼ばれます。
開いた部分は帯心がそのまま見える状態なので、
薄い別布をつけることもあります。
鏡仕立ては、胴に巻く部分の幅が自由に変えられるので、
背の高い人や、着物通に好まれています。
長さは名古屋帯と同じで、おおよそ3m50㎝~3m80㎝位です。
🌸洒落袋帯
金糸銀糸を使わない袋帯は、素材が紬地風ということであれば、
袋帯は洒落袋帯です。
格の上では名古屋帯と変わらないと思いますが、
袋帯ならば名古屋帯よりも長く4m以上あると思いますので、
お洒落着としてお出かけする時に二重太鼓を結ぶのは、
ちょっと着姿に重みが出るかもしれません。
🌸京袋帯
京袋帯というものがあります。
これは袋帯と名古屋帯の長所を取り入れたもので、
形状は袋帯ですが、
長さは名古屋帯と一緒で、一重太鼓に結びます。
染め帯のコーディネート 季節感のポイント
生地に模様を描いた染め帯は季節感を表現したものが多く、
普通、名古屋帯に仕立てます。
紬や小紋に合わせると、
着こなしに優しさや粋さといった情感が生まれます。
染め帯は、素材と模様で締める時期を変えるのがオシャレです。
温かみのある縮緬や紬は、十一月~三月まで、
塩瀬や羽二重、綸子は、四月・五月と九月・十月、
絽は、六月中旬から九月初旬が目安です。
帯に染める柄は、花や風景などの季節模様をはじめ、
モダンな抽象模様まで変化に富んでいます。
季節感のある模様を描いた染め帯は、
その季節をはずすと興覚めなもので、
着物のお洒落は、季節より少し先駆けるのがよいとされています。
たとえば、夏の染め帯に描かれる秋草のように、
季節を一歩先行くのが着物のお洒落なのです。
四季のある日本のお洒落は、季節感とともにあり、
それを良く表現しているのが染め帯といえます。
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染め帯のコーディネート 染めの技法のポイント
染め帯は、白生地に友禅染や型染、絞り染めやろうけつ染めなどを施し、
カジュアルなものから華やかなものまで多種多様あります。
染め帯に用いる白生地は、縮緬や綸子、紬、麻などの、
着物にも使われる素材を用いるので、
仕上がりは柔らかく優しい雰囲気になります。
🌸友禅染めの帯
友禅糊を用いて華やかな模様を染め上げます。
友禅染には、手描き友禅と型友禅がありますが、
どちらもはんなりとした優しい雰囲気です。
🌸夾纈(きょうけ)染めの帯
板締めと呼ばれる染めの技法で、
同じ模様を彫った2枚の板に、折りたたんだ布を挟んで締めあげ、
彫った模様の部分に染料を注いで染める技法です。
🌸絞り(纐纈)
糸で括ったりして防染する技法で、
大小に面を区切って絞り分けることで、柄を立体的に見せることができ、
絞りの帯は織りの着物との相性がとても良い帯です。
夾纈・臈纈(ろうけち)・纐纈(こうけち)は、
奈良時代の代表的な染色法で『天平の三纈』といわれ、
正倉院にも所蔵されています。
あとがき
着物を楽しむなら、やっぱりお洒落着ですね。
紬の着物に染め帯を粋に着こなせたら最高です!
思わず京都の街を散策して見たくなります。