博多献上帯とはどんな帯 伝統工芸品博多帯の献上柄と着物のコーディネートは?

献上柄の博多帯は、
着物が好きな人なら是非とも持っていたい帯のひとつですね。

博多帯は締めやすく、着崩れがしにくいので、
普段の着物やちょっとしたお出かけ着に最適です。

そんな博多織の帯、博多帯についてまとめてみました。

  

博多献上帯とはどんな帯

縞や格子、独特の独鈷華皿模様(とっこはなざらもよう)が印象的な博多織は、
粋な着物姿には欠かせない帯です。

博多織は大陸からの渡来人の手で、独特の浮き織の技術が伝えられ、
その技術をもとに江戸幕府ができる直前に始められました。

くっきりと浮き出た模様は、中国から伝わった
浮き織りの技術をもとにしていますが、
今の博多織は16世紀後半に、博多の組紐商が考案したものです。

博多織は、またの名を『博多献上』とか、単に『献上』とも呼ばれ、
着物愛好家の間で好まれ、利用場面の多い帯として親しまれています。

この『博多献上』とは、
江戸時代になって、毎年3月に帯地、10月に裃(かみしも)地が、
将軍に献上されていたから『献上』の名がついた織物です。

様式化した華皿と、
密教の法具のひとつをモチーフにした独鈷の連続模様に縦縞を配した柄は、
江戸幕府が出来て以来、
九州福岡の黒田藩が、幕府への献上品としていた帯柄だったので、
『博多献上』と呼ばれています。

博多献上帯 伝統工芸品の献上柄とは?

博多織は、ほかの産地の織物に比べて緯糸(ぬきいと)が太く、
経糸(たていと)が密に織られているのが特徴です。

経糸に6000本~7000本もの絹糸を用いて、
太い緯糸を強く打ち込んで織られているため、
織り上がった時の帯地には、横に畝(うね)がはっきりと見えます。

博多帯は、ほかの織り帯が緯糸で模様を織り出すのに対して、
経糸で模様を表現することも特徴です。

この博多織の技術は、昭和五十一年六月に、
西陣織より三か月遅れて『伝統的工芸品』に指定されました。

『伝統的工芸品』とは、
1974年に制定された、
伝統的工芸品産業の振興に関する法律に基づくもので、
経済産業大臣の指定を受けた指定工芸品のことです。

主として日常生活に使われるもので、100年以上の歴史を持ち、
製造過程の主な部分が手工業的で、
伝統的な技術技法によるものとされています。

また、伝統的な原材料を主に使用するもので、
一定の地域に集まり、ある程度の従事者のいるものなど、
いくつかの基準によって伝統的工芸品が指定されています。

博多献上帯の献上柄と着物のコーディネートは?

独鈷華皿模様の独鈷柄とは、
密教の仏具の一種で、煩悩を打ち砕くために用いられる独鈷を、
転がした時にできる模様を図案化したものです。

独鈷の連続模様を一本だけ入れて織られたものを、
『一本独鈷(いっぽんどっこ)』と言います。

帯の中央に独鈷柄を置き、その両側に華皿模様を配し、
それに縞柄をあしらった帯のことを『三献立て』と言い、
博多帯では一番オーソドックスな織り柄とされています。

博多織には独鈷柄の博多献上のほかに、
無地感覚のものや花柄のものなど、現代的な感覚の博多織も見られます。

締めた時、キュッと絹鳴りの音がする博多帯は、
細く密にした経糸に、太い緯糸を強く打ち込んだ、
張りのある地厚の織物です。

博多織で織られた博多帯は、
締めやすく、崩れない帯、着る人をしゃっきりと見せる帯として、
江戸時代から定評のある帯地です。

博多帯は、浴衣用に織られた半幅帯がおなじみですが、
博多織の袋帯は、洒脱な柄の江戸小紋などに、
袋名古屋帯は、小紋や紬の着物などにとてもよく合います。

絽や紗の博多献上は、
盛夏時の着物の上布や縮などに合わせて締めたい帯です。

あとがき

着物をコーディネートする時、
ちょっと困ったら博多帯に頼ってしまいます。

普段着やおしゃれ着など、
着物を楽しみたいときに重宝する帯ですね。

浴衣を着た時も、半幅の博多帯を貝の口に締めると、
粋な大人の女性に変身できます。