浴衣を着た時の履物は下駄です。
涼しげに浴衣を着こなすには足元も涼しげに、
素足に下駄を履きますが、
そんな下駄の歴史についてまとめてみました。
そして、下駄を選ぶとき、どんなことに注意すれば、
自分に合った下駄を見つけることができるのでしょうか。
また、普段履きなれていない下駄を履いて、
鼻緒ずれで困っている人を良く見かけますが、
痛い鼻緒ずれにならない方法について、
提案したいと思います。
ぜひ参考になさってください。
浴衣の履物 下駄の歴史と下駄の種類
下駄は古来からあった履物です。
和銅三年(710年)元明天皇が奈良・平城京に都を定められたころ、
延暦三年(784年)桓武天皇が長岡京へ都を移されるまでの七十四年間、
律令制度によって、戸籍を作り、租税を取り立て、
天皇や貴族は
その財力によって、着々と国づくりをしていきました。
そんな平城京跡からの出土品の中にも、
木製の男子用の履物(下駄)があります。
それから現在に至るまで、
二本歯で三つ穴という形に変わりがなく、
千三百年もの間、ひとつの形を守り続けている生活民具というのは、
とても珍しいことです。
現在の下駄は、浴衣を着るときや、
街着や普段着として着物を着るときに履く履物です。
下駄で一番よく知られているのは『桐下駄』です。
桐下駄は木製の中でも最も軽く、最高の下駄です。
しかし、汚れた足で履くと、
下駄に足形が付くので気を付けなければいけません。
塗下駄は、木製の下駄に漆などを塗ったもので、
これなら汚れも目立たず、雨水にぬれても心配がいりません。
焼き下駄は、表面が焼かれているので、湿気を含まず、
汚れも付きにくく、気軽に履くことができます。
鎌倉彫の下駄も素足によく合って素敵です。
草履の形をした下駄は、履きやすくていいですね。
このほか、桧や杉、竹などを素材にした下駄があります。
高アシダ(高下駄)があります。
和食の料理人が仕事場で履いているイメージもありますが、
それは特殊なもので、調理場の床は、水を流すことも多いので、
足が濡れないように高い下駄を履いています。
高アシダは関西では「利休下駄(りきゅうげた)」
関東では「日和下駄(ひよりげた)」と呼び、
下駄の歯は一般的な下駄よりも薄く、二枚の歯を挿したものです。
普通の下駄より高いので高下駄とも呼ばれますが、
きものや浴衣が濡れないように、雨の日に履く下駄なのです。
日和下駄の一種で、
下駄の上が畳表でできている『吾妻下駄』というものがあります。
江戸末期に「吾妻」という女性が履いて大流行したもので、
雨に濡れたら水を含んでダメになる畳表をあえて使うところなど、
その粋さがよかったのでしょうか、
雨が小降りの時や雨上がりの時だけに履くという、
お洒落なものだったようです。
雨の日には着物を着るという人も少ないのですが、
利休下駄や日和下駄を見かけることも少なくなってきました。
今のように舗装された道や店舗の中に床では、
下駄ばきはすべりやすく歩きづらいので履く人が少なくなったのでしょうね。
利休下駄や日和下駄の歯には、
ゴムなどの滑り止めが付いたものもあります。
薄い歯では歩きづらいことから、
逆台形の太い歯は付いた『時雨下駄』というものもあります。
さらに、利休下駄や日和下駄を雨の日に履くときは、
足袋の汚れを防ぐために、
革やビニールでできた爪皮(つまかわ)を付けて履きます。
雨の日に下駄を履く人は少なくなったようですが、
この爪皮のとっても可愛いものがたくさん売られているのです。
浴衣の履物 下駄のサイズの選び方
近頃の若い人は、体格もよくなって、
身長が170㎝近い女性も珍しくありません。
ですから、
着物や浴衣の寸法も合うものがないと困っている人が多いようです。
きものや浴衣の場合、幅広の生地も売られているようですが、
大きく仕立てればいいというものではなく、
全体のバランスが釣り合わないことが多いのです。
それは履物にも言えることで、
足が大きいからといって、大きい下駄を探そうとして、
見つからなくて困っている方もたくさんおられます。
下駄の大きさを測って、
自分の足の大きさに合わないと悩まれているのです。
心配しないでください、
和装の場合、下駄でも草履でも、踵は出ていていいものなのです。
だいたい草履の場合でも、
後ろから見て、草履に足が乗っかっているという感じより、
1~2㎝出ていていいと思います。
下駄の場合ですと、もっと多くてもいいくらいです。
お江戸の粋なお兄さんたちは、
わざと小さな下駄を足先に引っ掛けるようにして履くことを好まれるそうです。
下駄を選ぶとき、大きさばかりを気にされていますが、
重要なのは、鼻緒の調節具合なのです。
といっても、下駄の鼻緒をすげられる人も年々少なくなってきているようで、
また、ネット通販で購入した場合は、鼻緒を調節してもらうこともできません。
鼻緒が緩めですと、足が前に行くので小さめの下駄でも十分履けますが、
足の小さな人は、緩めの鼻緒の場合ぐねりやすいのでご注意ください。
浴衣の履物 下駄が鼻緒ずれで痛くならない方法は?
浴衣を着て下駄を履くときは素足が基本です。
浴衣は涼しげに着ることが、浴衣を着こなすポイントですから、
足元も涼しげに見えなければいけません。
普段から下駄を履きなれていないと(たいていの人がそうです!)
浴衣を着て下駄を履いて、夏祭りや花火大会に出かけたのはいいけれど、
どうにも鼻緒ずれが痛くて歩けなくて困った経験はありませんか?
花火大会に浴衣で行きたいけど、鼻緒ずれが心配!という人は、
前もって鼻緒の当たるところを絆創膏でカバーしておきましょう。
娘が浴衣を着て出かけようとしていたので、
『バンドエイド持って行きなさい!』って言って持たせたら、
帰ってきて『たすかったわ~!』って言ってました。
友達にも配ったそうです。
ということは、出かける前から準備していけば安心ですし、
思いっきり花火大会を楽しめますよね。
鼻緒ずれでなくても、素足に自信がないという方もあられます。
そんな時は素足が基本ですが、足袋を履いても良いのではないでしょうか。
近頃は、レースの足袋も売られていますし、
素足に見える五本指のストッキングもあります。
お洒落なペディキュア付きの五本指ストッキングもあります。
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あとがき
下駄は履きなれていないと、
ちょっと歩いただけでも疲れてしまいますが、
下駄ってとっても健康にいいそうです。
そして下駄は、浴衣姿には欠かせないものです。
お洒落は足元からといいますから、
十分吟味して、お気に入りの下駄を見つけたいですね。