一般的に夏の着物と言えば、単衣物や薄物になり、
単衣は6月と9月、薄物は7月と8月と言われています。
しかし、地球温暖化の影響で、夏はさらに早くから暑くなり、
5月でも単衣を着てもいいような風潮になってきています。
でも、暑いから着物を着ないというのは、
ちょっと寂しいですね。
どうにかして夏でも着物を涼しく着られるような工夫をして、
夏の着物を楽しんでみませんか?
着物を着る人が少なくなる夏だからこそ、
着物を涼しげに着こなして、
すてきな夏を過ごしたいものです。
そんな夏の着物を涼しく着るコツをお伝えします。
夏の着物を涼しく着るコツは?
夏の着物を涼しく着るコツ、
その前に、
夏に着物を着ている人を見て、どう感じますか?
汗をブルブルかいて、それでも着物を着ている人を見たら、
見ている人まで暑苦しくなるかもしれません。
でも、夏の日差しの中、
日傘をさして、夏の着物を着こなしている人を見かけると、
涼しさだけでなく清楚なイメージを受けます。
それに、着物は見ているほど暑くはありません。
着物は袖や裾から風が入り、風通しが良く、直射日光を防げるので、
着てみればわかると思いますが、
意外と涼しいのです。
そう!夏こそキモノで女子力をアップさせるときなのです。
夏には浴衣も良いですが、
浴衣は本来、湯上りに着るものですから、
特にお昼間は、麻や絽などの夏の着物で、
おしゃれを楽しんでください。
そんな夏の着物を着るとき、
着物の色や柄でも、涼しげに見せることはできます。
夏と言えば、白はもちろん、薄色やブルーなど、
清涼感のある色を用いることで涼しさを演出することができます。
また、紺地の浴衣のように、
キリっとした色目で締めることもできます。
柄で言うならば、縞を用いたり、
流水や青海波のような水を感じさせる模様や、
夏に咲く花を用いたりすることで、涼しく見せることもできます。
初夏のころなら紫陽花や花菖蒲、
盛夏になれば、着物の柄は先取りが粋とされていますので、
露芝や秋草の模様などが涼しげでとてもよく合います。
絽や紗のように透け感のある薄物は7月8月とされていますが、
上布と呼ばれる麻や綿紅梅、麻縮、夏大島や夏塩沢など、
この時期は天然繊維のあらゆる素材を身に着けることができます。
とはいえ、
今、どんな着物を着ればいいのかということは、
わかりにくいと思いますが、
肌触りが良く、見た目にも涼しげなものを選べばいいということです。
夏こそ着物を楽しむ絶好の季節です。
夏の着物を涼しく着るコツ 暑さ対策の汗取り肌着
夏は長襦袢や肌襦袢を着るのが、
暑くてイヤだと言われる方も多いのではないでしょうか。
しかし、綿素材などの通気性が良く、
汗をしっかりと吸収してくれる肌襦袢をつければ、
かえって何もつけないより涼しいのです。
たとえば、中に着る肌襦袢で涼しくする方法として、
あしべ織の肌襦袢というものがあります。
あしべ織の肌襦袢は、盛夏は汗取りに、
真冬は防寒着や補正着としても使うことができて、
1年中着ることができます。
着物愛好家の間で長年愛用され続けてきた「あしべ織汗取り下着」は、
燈芯に使われる「あしべ」という植物の天然繊維が、
胴回りに並べて縫い込まれています。
優れた吸湿性で、汗を大量にかいても、ぐんぐん汗を吸い取り、
熱気を発散するため蒸れません。
お腹まわりがべたつかず、蒸れずに快適なので、
大切な着物を汗から守ってくれます。
優れた吸湿性で、汗かきさんも安心です!
ろうそくなどの芯に使われる天然の植物繊維を、
胴回りに並べ、キルティング加工にすることで、
大量に汗をかいても、汗を気持ちよく吸い取ってくれるのです。
とても軽量なので、着心地よく、
補正着にもなる適度な厚みですので、
夏冬関係なくオールシーズン使えます。
夏に正絹のきものを着るときには、
特にオススメです。
夏の着物を涼しく着るコツ 二部式襦袢と人形衿
夏の着物を涼しく着るためには、
長襦袢を工夫する必要があります。
暑いから長襦袢なんて着たくないところですが、
浴衣ではないので、やはり長襦袢は着なくてはいけません。
長襦袢も麻などの天然素材は、幾分涼しいのですが、
お手入れが大変です。
お手入れが簡単な化繊の長襦袢は、
洗濯機で丸洗いすることもできますが、
通気性が悪く、肌にまとわりつき、
暑さをまぬがれることはできません。
そんな時、胴の部分が晒でできている二部式の襦袢は、
お手入れも楽で重宝します。
この二部式襦袢のどこが正絹なのかというと、
お袖の部分です。
ただ、一般的に販売されている二部式の襦袢には、
正絹でできているものはあまりありません。
ですから私は、普通の二部式襦袢の袖を、
夏物には正絹の絽や麻の襦袢の袖と取り換えて着ています。
胴の部分が晒などの木綿でできた二部式襦袢に、
袖だけ正絹や麻のものをつけるのです。
もちろん半衿も夏物(絽)を付けます。
もっと涼しく着たいときには、
『人形衿』というものがあります。
肌襦袢を着た上に、人形衿を着けて、
まるで長襦袢を着ているように見せるものです。
その場合、お袖がありませんので、
着物の袖の裏に襦袢の袖だけを縫い付けたり、
袖口と振りの部分に襦袢の布で作った比翼を付けます。
夏の着物を涼しく着るコツ うそつき襦袢と居敷当て布
『うそつき衿』とか『うそつき襦袢』と呼ばれるものがあり、
うそつき襦袢には、二部式襦袢と同じ形のものと、
長襦袢の衿のところがうそつき衿になったものがあります。
これは、着物を着た時に一番汚れやすい半衿を
取り替えやすくしたアイデア商品です。
半衿が汚れた時は、半衿をほどいて手洗いし、
また縫い付ける必要があります。
ところがうそつき襦袢と呼ばれるものは、
襦袢本体と半衿の部分が、
ファスナーで取り付けられるようになっているのです。
|
うそつき襦袢には夏物も冬物もあります。
冬物の胴の部分は綿素材の晒で、
蒸れやすい脇の部分には汗取りのガーゼが付いていて、
裾除け部分はキュプラとポリエステルの混紡で出来ています。
夏物のうそつき襦袢は、胴の部分に別織した綿麻素材が使われていて、
麻の持つシャリ感と綿のやわらかさが心地よく、
楊柳地なので肌触りが良くさらりとしています。
ファスナーで取り付けられる半衿も冬用と夏用の絽があり、
正絹のものでもファスナーを外して洗うことができます。
うそつき長襦袢には袖付きと袖なしがあり、
うそつき半襦袢もあります。
着物や浴衣に付ける居敷当て布
夏の着物は、生地が薄いだけでなく、白地のものも多いので、
透けて見えないかが気になります。
涼しげに見せるための透け感は必要ですが、
実際に透けると困るので、
着物の裏側のお尻の部分に、居敷当て布を付けて仕立てます。
居敷当て布は、生地が透けるのを防ぐだけでなく、
単衣仕立ての背縫い(腰の部分)の縫い目が、
広がったり裂けるのを防いでくれる力布にもなります。
居敷当て布は、お尻の部分だけに付けるのではなく、
腰紐で締める位置あたりから裾までの、
両方の後ろ見頃に縫い付けることで、
居敷当て布の部分だけが透けずに、
目立ってしまうということもありません。
居敷当てに使う布は、
胴裏の生地や、
洋服の裏地(ベンベルグ)などを用いるとよいでしょう。
あとがき
真夏は何を着ていても暑いものです。
でも、涼しげに着物姿で街を歩く人を見かけると、
着物っていいなあ~って感じます。
着物姿は年齢を問わず、
女性をすてきにしてくれますね。