浴衣の粋な着こなしのコツは?大人ゆかたの選び方と着付けのポイント

ゆかた

夏になると街で浴衣姿をよく見かけるようになります。

若い女の子の間で、年々浴衣人気は盛り上がり、
昼間でも、浴衣姿で京都観光する人が増え、
外国の方も浴衣を楽しんでいます。

夏祭りや花火大会では、
カラフルで大胆な色や柄の浴衣が多い中、
ちょっと大人っぽい、
粋な浴衣姿も素敵だと思いませんか?

そんな大人っぽい粋な浴衣を着こなして、
夏の夕暮れ、夕涼みなどに出かけてみたいですね。

艶っぽい大人の粋な浴衣を、
上品に着こなすコツについてお伝えします。

粋な大人の女性に変身して、
浴衣姿で夏の夜を、優雅に過ごしてみませんか?

  

浴衣の粋な着こなしのコツを会得するには?

浴衣を粋に着こなすコツを身につけるには、
粋な大人の女性について研究する必要があります。

研究と言っても、そう難しいことではなく、
いろいろな人の浴衣姿をたくさん見ることなんです。

テレビの旅番組などでも、
アイドルや女優さんが浴衣姿で出演されています。

きもの雑誌だけでなく、週刊誌などでも、
浴衣姿の特集が組まれることもあります。

着物姿を研究するためには、
街中へ出て、実際に着物や浴衣を着ている人を、
たくさん見ることで、
浴衣を着こなすコツを得ることができます。

まず、どのような色や柄の浴衣が多いのか、
どんな材質の浴衣を着ているのか、
帯の結び方やヘアスタイル、
持っているバッグや履いている下駄もチェックします。

着付けの仕方などもしっかりと見ているうちに、
自分自身がどのように自分を演出したいのかということが、
見えてくるはずです。

次に、
ここでは浴衣の粋な着こなしのコツを習得したいのですから、
自分が思うところの『粋な浴衣姿』について考えてみてください。

『粋』この字は“いき”とも“すい”とも読みますが、
意味はほぼ同じで、
江戸時代に生じ、時代に従って変転した美意識(美的観念)で、
遊興の場での心意気、身なりや振る舞いが洗練されていること、
女性の色っぽさなどを表す語 とあります。

また『粋』とは、単純美への志向であり、
「庶民の生活」から生まれてきた美意識 と記されています。

では『浴衣の粋な着こなし』って、どういうことなのでしょうか?

美意識だの心意気だの言いますが、
実際のところ『粋』についての明快な定義は見つかりません。

第一、私が思っている『粋』と、
あなたが考えている『粋』が、同じかどうかも比べようがありません。

ですが『粋』の反対語は「野暮(やぼ)」または「無粋」とあるので、
『浴衣の粋な着こなし』は、野暮ったくなく無粋でないもの、
ということはわかります。

いろいろな浴衣姿を見ていく中で、
この浴衣はアリだな!とか、
これはチョット好きになれないな~!って、
直感的なスキかキライかだけで決めてもいいと思います。

たくさんの浴衣姿を見て、批評しているうちに、
だんだんと浴衣に対する目が肥えてきます。

そんな中で、
浴衣を粋に着こなしたいと思っているあなたが、
選んだ浴衣の色や柄はもちろん、
その浴衣の着付け方も、あなた好みの粋な浴衣姿に違いありません。

浴衣は着物と違って、
それほど難しい昔からのならわしや決まり事に、
縛られる必要はありません。

なぜなら、
今のように持て囃されるまでの浴衣と、
昔の浴衣では、まったくその使い道が違っているからです。

もともと浴衣というものは、
高貴な人の湯上り着(バスローブ)でした。

江戸時代にはその浴衣が、
部屋着や寝巻として、一般の庶民に広がりました。

温泉へ行くと、
旅館の浴衣は、部屋着になり、
寝巻にも用いられているのは、
そこから着ているもののようです。

そして今の浴衣は、
真夏のちょっとした街着としてや、
夏祭りや花火大会に着ていく遊び着なのです。

洋服で言うならサマードレスの感覚です。

浴衣を着ても良い時期も、
本来なら、着物で言うところの薄物の時期にあたるのですが、
今は温暖化のせいなのか、6月でも浴衣姿を見かけることがあります。

浴衣の粋な着こなしのコツを会得するために、
浴衣姿をたくさん見ていると、
自分自身の好き嫌いがはっきりしてくると思います。

自分の中で、浴衣姿の好みが明確になってきたら
もう あなたの着こなしは完成しています

あとはその理想の形を自分の体に添わせるだけなのです

「この浴衣姿はちょっと暑苦しそうに感じる…」
などと思ったところは注意するようにして、

「粋な着こなしをしていて、すてきだな~」と、感じる着付けかたは、
生きた教材として真似をすることです。

浴衣のきれいな着方のポイントは裾合わせと衿袷わせ おはしょりのコツ
夏の夕暮れには浴衣を着て、 夏祭りや花火大会にお出かけしたいですね。 ゆかたの着付けは、 裾合わせと衿袷せが決まればバッチリです。 浴衣のきれいな着方のポイントを、 手順を追って説明しています。 あとは着崩れしにくいポイントをマスターして、...

浴衣の粋な着こなし 大人ゆかたの選び方

たくさんの浴衣姿を見てきた中で、
どんな生地質の浴衣が着たいのか、
色や柄はどれが好きなのかは、 
自分の中でイメージ出来ているのではないでしょうか。

粋な浴衣の着こなしで、大人っぽい浴衣を選びたいのなら、
やはり藍染の浴衣がいちばんだと思います。

カラフルな色遣いが多くなっているからこそ、
素朴で情緒ある紺地の浴衣には、
楚々とした艶っぽさがあります。

粋な大人の浴衣選び方ということで、
浴衣の生地の素材にはどのようなものがあるのかをご紹介します。

一般的に浴衣の生地には、
綿やポリエステル、麻などがありますが、
いちばん多く使われているのは綿です。

ポリエステルのものは発色が良く、色が鮮やかで皴になりにくい反面、
通気性が良くないので、着ていて少々暑いです。

天然植物性素材の麻の縮織 小千谷縮は、
盛夏用の着物地ですが、 
高級浴衣として用いられることもあります。

綿と麻 混紡の浴衣は、シャリ感があって、
肌にまとわりにくく涼しい高級浴衣の素材です。

☆コーマ地の浴衣

生地の織り方にもいろいろあって、
いちばん多く使われているのが綿素材のコーマ地です。

コーマ地は、糸の太さや織り方によって値段もいろいろあり、
安価なものは一度洗うとコシがなくなるものもあります。

コーマ地とは、コーマ糸を使って平織に織られた生地で、
コーマ糸とは、
短い繊維やゴミなどを除いた長い繊維を揃えて紡績したものです。

名前の意味は、繊維をそろえるということで、
櫛のコームから来ているようです。

☆綿絽(めんろ)

平織と捩織の併用で絽目を織り出した綿絽は、
透け感のある木綿生地です。

コーマよりも軽く、風を通しやすいので涼やかなのが特徴です。

絹糸で織られた『絽』の着物と同じ織り方で、
木綿の糸を織ったものです。

綿絽の浴衣も生地は透けるので、
着るときには下着や肌着に注意が必要です。

☆綿紬(めんつむぎ)

綿紬は、紬織と同じように、
節のある木綿の紬糸を使ったハリのある手触りの木綿生地で、
独特の風合いが近年人気の素材です。

綿紬のルーツは、江戸時代から織られている遠州綿紬が発祥で、
繊維が絡み合ってできた節のあるネップ糸や、
綿花を繊維にばらし細く引き伸ばして撚りを加えたリング糸などを使用し、
ざっくりとした風合いに織られた、やわらかな質感が特徴の生地です。

☆綿縮(めんちぢみ)

いわゆるクレープ状になっている織り方のことで、
木綿の糸に撚りを掛け、
シャリ感のある風合いに織り上げた木綿生地です。

綿縮には片しぼと両しぼがありますが、
片しぼは楊柳縮、または楊柳クレープと呼ばれ、
一般的には両しぼのことを綿縮と呼んでいます。

生地の表面にデコボコがあるので、
着心地は肌にくっつかず風通しが良いので涼しいです。

☆綿紅梅(めんこうばい)

『紅梅』という織り方の生地には、
絹で織られた『絹紅梅』と、綿で織られた『綿紅梅』があります。

薄手の地に太めの糸が格子状に織り込まれ、
凹凸を織り出した木綿生地で、
ワッフル状になっている織り方が特徴の生地です。

夏のお出かけにおすすめの、
ひとつ上の大人向け浴衣生地です。

☆絞りの浴衣

絞りの浴衣とは、絞り染の浴衣のことで、
絞り染は布を染めるときの防染法のひとつです。

布の一部を縛るなどの方法で圧力をかけ、
染料が染み込まないようにして模様を作り出す模様染めの技法です。

有松絞りは愛知県名古屋市の有松地方で生産される絞り染めで、
江戸時代始め頃から現代に至る400年以上の歴史を持つ伝統工芸です。

絞りの浴衣生地は、一般のゆかた生地より薄く、
軽くてふんわりしています。

布を染めるときにできた独特の凹凸で、
肌にべとつきにくく、肌触りも優しい肌心地です。

近頃は 南国ムード満載のカラフルな浴衣も多く出回っていますが、
やはり粋な大人浴衣といえば 藍染に勝るものはないと思います。

紺地の浴衣では地味になりすぎないかと思われるのでしたら、
柄の中に差し色を施した程度のものが良いと思います。

浴衣と言えども高級品になれば 結構なお値段ですが、
いいものはやっぱりいいと言える、それだけのことはあります。

浴衣と着物の違いを知って 大人っぽい 粋な着こなしを楽しむ方法とは?
夏になると、花火大会や夏祭りなどで、 若い女性の浴衣姿をよく見かけるようになります。 やはり日本人は浴衣がよく似合いますね。 でも昔に比べて、浴衣の色や柄が随分変わってきました。 色使いも鮮やかでビビットな原色が多く 柄も斬新な抽象柄や大胆...

浴衣の粋な着こなしのコツ 粋な着付けのポイントは

夏に着る浴衣は 涼しげに見えることが一番です。

『涼しげに』

そうです!浴衣は本当のところ暑いです。
涼しさを求めるのなら洋服のほうがずっと涼しいです。

だけど浴衣は、ちょっとくらい暑いのを我慢してでも、
着るだけの価値があるのです。

浴衣を涼しげに着ていると、
それを見ている人も涼しく感じることができます。

夏祭りや花火大会など、溢れかえるような人ごみの中でも、
そこだけ爽やかな風が吹いているように感じるのです。

この涼しげな浴衣の着こなしこそ、
大人の女性の粋な浴衣の着こなしと言えます。

程よく抜き衿された襟足、
ざっくりと合わせられた襟合わせ、
身に沿わせただけの帯は、締めつけたという感じではないのです。

間違っても乱れた着付けではありません。

キツキツに『ユカタ、キマシター!』という感じではなく、
湯上りに、サッと身にまとったという、
浮世絵にあるようなイメージです。

浴衣の粋な着こなしで、その域に達するには、
理想とする粋な浴衣姿を脳裏に描いて、
何度も何度も着てみる以外、方法はありませんね。

ココで粋な浴衣の着こなしのポイント

・涼しげに着る
・くつろぎ着であることを忘れずに!

つまり浴衣ですから、
涼しく見えて、楽に着ているように見えること、
ココが重要なポイントです。

涼しく見えるように浴衣を着ましょう!というと、
『浴衣には下着は付けないのですか?』という質問を受けます。

浴衣を着るときの下着はどうすればよいのか、
悩んでいる人も多いようですが、
下に何も着ないで浴衣だけを着るのは間違いです!

浴衣の下には、汗取りになる肌着を正しくつけることで、
より浴衣を涼しく着ることができます。

肌着が汗を吸い取ってくれるので、浴衣がベタ付かず、
何もつけないよりかえって涼しいのです。

特に帯の下は一番よく汗をかくところですから、
肌襦袢(和装下着)の上にスポーツタオルを二つ折りにし、
胴に巻いて浴衣を着ると、タオルが汗を吸い取ってくれます。

浴衣を着終わった後は、浴衣を毎回洗わなくても、
中に着た下着とタオルを洗えばいいのです。

タオルは汗取りになるだけでなく、体型の補正にもなり、
腰紐の収まりが安定することで着崩れを防ぐことにもなります。

タオルを巻いておくことで、
帯もギュウギュウ締める必要はなくなり、
ゆったりした感じに着付けることが出来ます。

本来なら肌襦袢と裾除けを付けますが、
ワンピース式になった和装下着がなければ、
キャミソールとペチコートのようなものでも大丈夫です。

ワイヤーの入った、トップを強調するようなブラは、
着崩れの原因になりますので、
胸元のブラはソフトカップのものが適しています。

ペチコートは足さばきが良いように、 
膝あたりまでの長さがあればよいのですが、
その場合も 吸湿性の良い生地を選ぶようにしてください。

白い浴衣や薄手の浴衣の場合、透けてしまうことがありますので、
できれば浴衣専用に長めのペチコートを、
吸湿性の良い生地で作っておくのもいいと思います。

機能性で言えば、
お父さんのクレープのステテコなんて涼しくて歩きやすく最高です。

最近はユニクロでも、女性用のステテコが販売されていますので、
ペチコートのかわりに最適です。

ステテコを選ぶときも、浴衣から透けて見えることがありますので、
色目に注意してください。

浴衣の粋な着こなしでは、
衿もとが重要なポイントになります。

浴衣の衿元が詰まり過ぎていても暑苦しく感じますし、
衿元が乱れていては粋な着こなしとは言えません。

浴衣のかけ衿の下前の内側を少しほどいて、
襦袢の衿芯を入れます。

衿芯を入れることで、衿が首筋に付きすぎないので、
涼しく感じます。

浴衣の履物 下駄の歴史とは?サイズの選び方と鼻緒ずれで痛くならない方法は?
浴衣を着た時の履物は下駄です。 涼しげに浴衣を着こなすには足元も涼しげに、 素足に下駄を履きますが、 そんな下駄の歴史についてまとめてみました。 そして、下駄を選ぶとき、どんなことに注意すれば、 自分に合った下駄を見つけることができるのでし...



あとがき

浴衣を粋に着こなそうとすると、
いろんなことに注意しなければいけないように感じますが、
いちばん注意しなければいけないのは、
身のこなしかも知れません。

洋服の生活、それもジーンズ姿に慣れ親しんでいると、
どうしても動きに女性らしさがなくなってしまっています。

浴衣を粋に着こなすためには、
そこも何とかしなければいけないポイントのようです。