着物の種類の見分け方
きものには染と織りがあります。
きものが普段の生活から遠ざかり、
着物の常識を難しく思う人が多くなったかも知れません。
でも、そんなことはありません!
きものの種類には、基本的に『染め』と『織り』の二つだけです。
この違いによって、
フォーマル度や、着物の雰囲気が変わってくるのです。
それを知れば、着物の用途や格についても、
見分けることは難しくありません。
着物の種類の見分け方 染めと織りとは
着物に限らず、衣服の生地を作り方法は二種類あります。
白い糸のまま、布に織ってから染める方法と、
糸を染めた後に織るという方法の二種類です。
『染め』の生地は、洋服で言うならプリント地、
『織り』の生地はツイードにあたるものです。
このように、白生地と呼ばれる、白い糸のまま織った布を、
染めて仕立てた着物を、『染めの着物』といい、
反対に、
糸を染めてから織りあげた生地で仕立てたものを、『織りの着物』といいます。
染めの着物は、布状に織った後で染めるので『後染め』といい、
織りの着物は、布にするより先に糸を染めるので『先染め』といいます。
着物を着ようと思っても、
格や仕来りといわれるものが難しく、面倒に感じる人も多いようですが、
着物を着るときの用途に応じて、
その雰囲気にふさわしい材質の着物を選ぶということがポイントになります。
着物の格という言い方からすると、
まるで染の着物の方が、織りの着物より上に感じるかも知れませんが、
『格』と『高級』は全く別物です。
仕来りや格は、その用途の重要度とでもいうのでしょうか、
家でくつろぐ時と、式典などの儀式に出席する時では、装い方が違うのです。
機械的な技術が進んでいく中で、
コンピューターが色や柄、
織りの組織を創り上げることもできるようになりました。
しかし、伝統工芸といわれる人間の手仕事が作り上げるものとそれらを、
比べること自体おかしいことだと思います。
そのきものにどんな用途を求めるのか、
自分自身がきものに何を求めるのかを念頭において、
着物の種類の見分け方を知ってください。
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着物の種類の見分け方 染めのきもの
現在では一般的に、
染めの着物は織りの着物より格が高いとされています。
染めの着物は、フォーマルと言われる礼服や、
セミフォーマルといわれる準礼服、
また、お洒落義として着られています。
染めの着物には、
黒留袖、色留袖、振袖、訪問着、付け下げ、色無地、
そして小紋などと呼ばれるものがあります
これらは仕立て方の違いもありますが、
色や模様の付け方で分けられた呼び方です。
それぞれは主に、結婚式や成人式といった儀式用、
パーティーやお茶会用、そして街着用になります。
つまり、染めのきものは晴れ着を中心とした、
華やかで柔らかい風合いのもので、
体に添い、着る人がはんなりと優しい雰囲気に見える着物といえます。
着物の種類の見分け方 織りのきもの
糸を染めてから織るので、『先染め』と呼ばれる織りのきものは、
かつては仕事着や普段着として用いられていました。
今のようにファッションブランドやショッピングモールもなく、
自分で着る服は自分で作るといった、衣服も自給自足だった時代、
どの地方でも、農作業の合間に蚕を飼って繭を作り、
糸を紡いで色を染め、機織りをして布を織り上げていました。
糸の段階で、経糸(たていと)と緯糸(よこいと)を、
違う色に染めて織りあげた縞(しま)や格子(こうし)といった、
素朴な織り柄が中心でした。
このように、織りの着物と言えば、堅牢で地味な色柄が多かったのですが、
最近では華やかなものも多くなりました。
また、伝統工芸の技術が高く評価されるようになり、
普段着としてだけではなく、趣味の着物として注目されています。
織りの着物には、結城紬や大島紬に代表される『紬』のほかに、
木綿や麻など、植物繊維を素材としたものが、全国各地で生産されています。
一般的に織りのきものは、染めの着物に比べると、
しゃっきりとした着心地で、着る人がキリっと見える着物といえます。
あとがき
きものは『着てこそキモノ』
そんな思いで今まで着物に向き合ってきました。
五十年後、百年後、日本のきものはどうなっているのでしょうか。
私は見ることができませんが、
いつまでも人を輝かせる、
人々に愛されるファッションアイテムの一つであってほしいと願っています。