柿渋染めの効果とは?布の染め方と柿渋染料の作り方を簡単に!

染め

柿渋は、
古来より日本の暮らしに欠かせない天然塗料として、
住居はもちろん、
木桶や竹ざる、
漁網といった生活道具の耐久性を高めるために使われてきました。

石油化学製品の台頭に伴い、
時代に忘れ去られたかのように見えた柿渋。

しかし、
化学物質による室内環境汚染が、
アレルギーやシックハウス症候群などを引き起こす
原因となっていることがわかってくるにつれ、
改めて柿渋の持つすぐれた効能に着目する人々が増えています。

柿渋染めの効果や、
布の染め方と柿渋染料の作り方を紹介したいと思います。

柿渋染めの効果とは?

柿渋染めは、
防水効果、防腐効果、耐久力強化といった特性を持っています。

古くから、
酒袋、漆器、布、木、竹、紙、型紙、漁網、釣り糸、ロープ、
家具、建築材、船、傘、格子、うちわなどの下地として
使用されてきました。

また民間薬として、
やけど、しもやけ、血圧降下剤、
蜂などタンパク毒の中和剤としても
利用されてきました。

現在では清涼剤
(タンパク質を柿タンニンが凝固・沈殿する)や
化粧品素材、発酵食品の除タンパク剤、
重金属の吸着剤として使用されています。

さらに、
柿渋の主成分である高分子タンニン(柿ポリフェノール)には、
様々な効能がある事が知られています。

広島大学大学院の研究で、
柿渋が広い範囲の種々のウイルスを、
強力に不活化できることが解りました。

12種類のウイルスに対して効果を判定し、
柿渋と、
そのほかの植物由来のタンニン7種類(茶カテキン)との、
抗ウイルス能力の比較を行いました。

その結果、
柿渋のみが調べた12種類すべてのウイルスに対して、
強い効果があることを示しました。

柿渋が唯一、
すべてのウイルスを完全に不活性化したのです。

茶カテキン、ワットルタンニンにも、
強い抗ウイルスの能力はありましたが、
これらでは効果の出ないウイルスがありました。

研究グループでは、
さらに柿渋の抗ウイルスの能力の作用機構を調べました。

それにより、
ウイルス表面蛋白質に柿渋が結合し、
ウイルスを不活性化していることが明らかになりました。

又古くなると着色化する柿渋について、
加速劣化試験を行い、
2年間の保存に相当する劣化では、
柿渋の抗ウイルス作用は失われないことが示されました。

これは、
柿渋で染めたものも
抗ウイルスの能力があるという事を示しています。

最近は、
渋柿染めのマスクも発売されています。

渋柿染めの抗ウイルスの能力に着目したのでしょうね。

柿渋染めの布の染め方は?

渋柿染めの布の染め方を見ていきましょう

1.染める布・紙の汚れ・油などを取り除き十分乾燥させます。

2.柿渋液を倍以上の水で希釈します。
(渋柿液は販売されているものを使いました)

3.浸染・ハケ塗り等で徐々に着色していきます。

浸染・ハケ塗り・乾燥を繰り返しお好みの色に仕上げてください。

4.十分に乾燥後、流水で洗って仕上げてください。

※柿渋は乾燥するだけで不溶化し、
皮膜を形成しますので特に色止めをする必要はありません。

■布を染める時に知っておいたいポイント

・原液で染めると生地が硬くなります。

薄い柿渋液で繰り返し染める方が柔らかく仕上がり
ます。

・時間が経過しますと若干色が濃くなります。

薄めに仕上げるのがポイントです。

・直射日光の当たる面の色が濃くなります。

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柿渋染めの柿渋染料の作り方を簡単に!

渋柿の中でも、
最も渋みが強い(タンニン成分が多い)品種を原料に使います。

産地によって異なりますが、
天王柿・鶴の子柿・田村柿など。

豆柿・山柿と呼ばれるものも使います。

一般に、
小粒のものがタンニン成分の割合が多いとされるようです。

ただし収量の関係で大粒のものも使われます。

青い柿を、最も渋みの強い8月頃に採集し、
その日のうちに砕いて搾り濾過します。
(ここまで1日で行います。)

採取してから日を置くと、
果肉が変質し柿渋を搾りにくくなります。

この搾り汁を自然発酵させた後、
長期保存しますが、
次第に澱(おり)が沈澱し、
それを除いた上澄み液が柿渋となります。

これを、
1年から3年以上かけてねかし熟成してつくりますが、
古いものほど良いとされます。

昔は樽などでしたが、
現在はホーローのタンクなどです。

搾る手間より、
長期保存(熟成)の管理が大変と言えます。

搾った直後は薄い緑色の液体ですが、
発酵後、時間とともに茶色くなっていきます。

化学薬品などの添加物は加えません。

昔、柿渋を大量に製造していた時期に、
天候のせいで渋柿が不足した事があり、
一度搾った後の柿の搾りかすに、
水を加えて再度搾った2番渋を作る事もありましたが、
現在ではそのような事はありません。

柿渋の保存は、蓋のできる容器に入れ、
温度差の少ない冷暗所に置いて下さい。

昔は壺などに入れ床下に置いて保存したようです。

注意点は、
長期保存の際、凝固しないようにする事です。

水飴状にどろっとしている状態であれば
水を加えて薄められますが、

ゼリー状になってしまったら元に戻らないので、
時折様子を見て、

粘度が高くなっていたら、
一番良いのは粘度の低い柿渋ですが、
手元に無ければ、
水を加えて良く混ぜて粘度を下げてください。

水道水そのままでは、
馴染み難い場合があります。

特に季節の変わり目など、
温度差が大きい時季に凝固し易いようです。

柿渋染料の作り方を簡単に紹介しました。

地域によっては青柿を採取するのはなかなか難しそうですが、
チャレンジしてみるのも良いかもしれませんね。

あとがき

柿渋色は忍者の衣装にも使用されています。

忍者の活動時間である夕暮れ時から夜にかけて、
この時間帯には黒の忍者衣装よりも
輪郭がわかりにくくなる性質を持っています。

さらに真っ黒の衣装ですと、
ひとたび市井に入ればすぐにばれてしまいますが、
柿渋は変に浮くこともなく、
暗闇でも明暗差が出ることなく過ごすことができたらしいです。

さらに柿渋の効果を踏まえれば、
最高の忍者衣装だったかもしれませんね。