子供の浴衣を買うときは、何年か着られるように、
少し大きめのサイズを購入するのが一般的です。
しかし、そのままでは大きすぎるので、
裄(ゆき)にタック(つまみ)をとって詰めるのを「肩上げ」と言います。
また、身丈にタックをつけて着丈を詰めるのを「腰上げ」と言います。
子供の浴衣の肩上げや腰上げは、
大きめの着物をぴったり着るためのものです。
昔は、女の子が13歳になったのを祝う行事の、
「十三参り」までは肩上げをするという習慣もあった様です。
お参りが済んだら、肩上げを外すことができて、
それからは肩上げのない、
大人物の着物を着られるようになっていたそうです。
肩上げや腰上げなどの身上げには、
「子どものこれからの成長を願う」という意味が込められています。
肩上げや腰上げが必要なくなると、少し大人に近づきますね。
子どもの浴衣に肩上げや腰上げをするのは何歳まで?
肩上げや、腰上げは、
子どもの成長に合わせて長さを調節するものです。
肩上げが要らなくなるのは、
年頃になり、幼さがなくなってくる5、6年生位までです。
だいたい、12歳くらいまでです。
体が大きくなって、その浴衣の仕立ての裄が、
ぴったりで着られるようになったら、肩上げや腰上げは必要ありません。
子どもの浴衣に肩上げや腰上げをどうして作るのか?
子どもの成長は日々目まぐるしいので、大きめの着物を用意して、
その時の体の大きさに合わせて「上げ」をとって着せます。
成長したら、上げをほどいて、
丁度いいサイズになるように直します。
★肩上げの仕方
〈肩上げ寸法を測る〉
浴衣の裄の長さを測ります。
次に、首の後ろの付け根にあるグリッとしたところから、
腕を斜め下45度に下げ、肩を通って、
手首外側のグリッとしたところまでの長さを測ります。
肩上げ寸法は、この2つの差です。
〈上げ山の位置を決める〉
肩幅の半分の位置を上げ山にします。
後ろは袖止まりの2センチ上の高さまで真っ直ぐ、
前は袖がわに1センチ斜めに取ります。
〈肩上げ寸法の半分をつまむ〉
上げ山から左右均等に肩上げ寸法の半分をつまみ、
まち針で固定します。
後ろは、下の方で肩上げ寸法の半分よりも1センチ少なくします。
〈二段落としで縫う〉
上げ山を袖がわに倒して、
表側が細かい目になるように二段落としで縫います。
二段落としとは、
長く糸を出す→二針縫う→長く糸を出すを繰り返す縫い方です。
これによって、表側に出る縫い目が目立ちにくくなります。
★腰上げの仕方
〈腰上げ寸法を測る〉
腰上げは、はじめに子どもの背丈を測ります。
首の付け根から、足のくるぶしの隠れるところまでを測り、
着丈とします。
着物の丈から、着丈を引いた残りの長さが腰上げをする寸法です。
〈上げ山の位置を決める〉
【身丈-腰上げ寸法の半分】の半分の位置を上げ山にします。
〈腰上げ寸法の半分をつまむ〉
上げ山から上下均等に腰上げ寸法の半分をつまみ、
まち針で固定します。
この時、右側の衿端は1センチ余分につまみます。
〈二段落としで縫う〉
上げ山を下側に倒して、
表側が細かい目になるように二段落としで縫います。
この時、左側の衿端は、
着たときに上になるので、きちんと揃えて縫います。
子どもの浴衣に肩上げや腰上げを作る位置を簡単に決めるには?
肩上げの位置は、背中心から袖付けまでの幅を二等分して、
その中心を「あげ山」とします。
この上げ山を「上げ止まり」まで真っ直ぐに通します。
肩上げ: 肩上げの位置は、肩幅×1/2のところを「上げ山」にします。
肩上げの寸法の1/2が、上げの深さです。
後ろ: 肩山から袖つけ止まりの入りの位置まで、
上げ山の縫い目を真っ直ぐおろします。
上げ山をつまんで、肩山から袖つけ止まりまで、あげをします。
前: 前は、あげ山を袖つけ止まりのところで、
袖つけ側に一センチ少なくします。
後ろと同じ様に肩山から袖つけ止まりまで上げます。
浴衣を着たときに、胸周りの幅を広くして、
襟合わせをよくするために、
前の上げ山を袖つけ側に1センチ寄せて、
あげの深さを後ろよりも1センチ少なくします。
浴衣の身丈から、
子どもの着丈を引いた残りを「あげしろ」と言います。
この二分の一が、「あげ」の深さになります。
腰上げの位置は、着丈の五分の三を肩山から測って、
そこを「あげ山」とします。
「あげ山」を中心にして、上下にあげの深さを測ります。
腰上げ山の位置は、背中心で決めます。
2~6歳児は、
【着丈+上げ寸法の1/2】の半分のところ、
7~9歳児は、
【着丈+上げ寸法の1/3】の半分のところが標準です。
あとがき
浴衣の上げをほどいて再度縫い直したりすると、
子どもの成長を感じますよね。
ひと手間かけて、長く着させてあげたいと思います。