更紗の着物をコーディネートする時、更紗模様の特徴や歴史 染め方について

染め

更紗は、異国の薫りが漂う型染めです。

もともと更紗とは、室町時代末期から江戸時代にかけて、
南蛮船で運ばれてきた多彩な木綿布の模様でした。

更紗模様の着物や帯は、
全体に染められた小紋柄に属しますが、
独特の雰囲気を持った色彩や柄行は、
どんな人にも似あって飽きが来ない模様です。

お洒落着として、いろんな着こなしができる更紗の着物や帯は、
年齢層も幅広く着られるので、持っていたい着物の一つです。

  

更紗の着物や帯をコーディネートする時

お洒落着として着る更紗の着物は、
ご近所へのお買い物から、ちょっとしたパーティーや観劇にまで、
着こなししだいで幅広く楽しむことができる着物です。

更紗模様は細かい模様の全体柄なので、
更紗の着物に帯を合わせるときは、
模様ひとつひとつの色よりも、
少し離れてみたときの全体の色合いで、
帯を決めます。

更紗模様の着物は、濃い色目のものが多いと思いますが、
そのような時は薄い色目の帯がよく似合います。

着物自体に細かな模様がたくさんあるので、
帯にはあまり模様がないものか、
シンプルなもので、色数も少なめにして、
帯締めや帯揚げでアクセントをつけます。

更紗の着物は染の着物ですが、
紬のお洒落着と同じように染の帯を合わせても素敵です。

お太鼓柄の染帯でも、色目を主張するような柄でないほうが、
更紗模様の着物とケンカしないと思います。

着物と帯のコーディネートを考えるときは、
まず、主役を決めるとわかりやすいです。

その日の主役を決めてください。

きものを主役にするか、帯を主役にするかを決めて、
主役でないほうは色目を抑え、柄行も控えめにします。

主役に決めたほうの色目を濃い色にするか、薄い色にするかで、
主役でないほうの色目が決まります。

★反対色を使う

★明暗をつける

★同系の濃淡を選ぶ

どちらも好きだから、どちらも主役に・・・とすると、
どちらもが死んでしまいます。

更紗模様の着物は柄が多いので、
半衿は無地のものが似合います。

更紗模様の着物に更紗模様の帯は用いません。

更紗模様の帯を締めるとき、更紗模様の帯は染帯ですから、
大島や結城などの紬の着物が合います。

もちろん着物と帯のコーディネートといっても、
これは無難なコーディネートということで、
ご自分の好みを優先されても、お洒落着としてなら問題ないと思います。

『○○でなけらばいけない!』
そういうことに縛られて、
着物を着るのをためらうことはやめてください。

何度も着物を着ているうちに、
『このほうがいいかも!』って感じてくるものだと思います。

更紗の着物 更紗模様の特徴や歴史

更紗は、インド起源の木綿地の文様染め製品のことで、
日本ではインド更紗のほかに、
インド以外の地域で製作されたものを、
ジャワ更紗、ペルシャ更紗、和更紗と呼んでいます。

歴史的にはインド更紗を原流とし、
11~12世紀のジャワ更紗など、
17世紀以降のヨーロッパで染の技法に大きな影響をあたえました。

更紗模様は、二色または多色のそめで、
人物や草花、鳥獣などいろいろな模様を染めたもので、
もともとは木綿に染められる模様でした。

オランダやポルトガルの貿易船が日本にもたらしたのは、
インド更紗のほか、ジャワ更紗、ペルシャ更紗、オランダ更紗などで、
これらの布は『古渡り更紗』『和更紗』と呼ばれますが、
臙脂、藍、緑、黒、黄など、独特の濃い色を使って、
様式化された草花や鳥獣の模様を染めた、珍しい木綿布でした。

本場インドでは、
木綿地にえんじ、藍、緑などで花模様を描いたものが多く、
古いものは手描きに木版染を併用しています。

ジャワ更紗は蝋纈染で、藍、茶、黄などが用いられ、
幾何学的・抽象的な模様が多くあり、
また、ペルシアやタイの更紗も有名です。

日本へは室町時代にもたらされ、
華布、印華布、沙室(しゃむろ)染などともいわれ、
おもに帯や下着、ふとんや袋物にされました。

古渡りのインド更紗や金の入った金華布はことに珍重され、
名物裂にもなっています。

武家や豪商であった当時の茶人たちは、
この布を仕覆(茶碗などを入れる袋)に用いて珍重していました。

いわば更紗は、
近世における高級ブランド品だったのです。

江戸時代中期になると、異国からやってきた更紗の模様を模して、
日本でも更紗が生まれました。

長崎更紗、鍋島更紗、天草更紗、堺更紗などがあり、
それらは和更紗と総称されます。

この頃、江戸では結城紬や唐桟木綿の着物が好まれていて、
これらによく調和する更紗模様は、
袋物や羽裏(羽織の裏地)として人気を呼びました。

大正時代になると、それまで木綿に染められていた更紗模様が、
羽二重に染められるようになり、まず、帯に用いられました。

縮緬地や紬地に染められて女性の着物になっていったのは、
昭和の時代になってからと言われています。

更紗の着物 更紗模様の染め方について

古渡更紗といって珍重される更紗の類は、
17~18世紀にかけて日本に舶載されたもので、
その大半はインド製のものです。

和更紗は、こうした渡り物の更紗に刺激され、
その異国的な模様を生かして各地で製作され始めました。

一般に型紙を用いて裂地に染料を摺ったり、
型染めと同じく型紙を用いて糊(のり)を置き、
その後、引染めしたもので、
堺更紗や長崎更紗などの名が残っています。

これらの更紗文様には、草花や鳥獣、人物などのほか、
ヨーロッパに輸出されたインド更紗とは、
まったく異なる意匠スタイルのものが含まれています。

たとえば旧彦根藩井伊家伝来の更紗類や、
茶入れの仕覆や裂帳にみる古渡更紗には、
扇、香袋、巴、紋尽、銀杏、そのほか格天井とよばれる幾何学文様など、
日本人の好みを強く反映した文様が残っています。

鍋島藩でつくられた鍋島更紗は、模様の輪郭に木型を用い、
その他の部分は、型紙を幾枚も用いて丹念に染め上げたものがあります。

更紗模様は、型紙を使って染める型染め更紗だけでなく、
手描きで作られる更紗もあります。

防染には蝋を用いて、
線引きには『チャンチャン』という道具を用います。

溶かした蝋をチャンチャンに入れて、
細い管から蝋を垂らして模様を描いていきます。

型染めにしても、手描きであっても、
現代の更紗にも染められている独特の模様には、
罌粟手(けしで)、笹の葉手、茗荷手など、
○○手と呼ばれる花柄がありますが、
これらは江戸時代に輸入された図柄の名称です。

複雑な絵模様と濃い色、クラシックな異国の匂いを漂わせる更紗は、
個性的に装いたい人に好まれる着物です。



あとがき

更紗模様は大好きです!

お洒落気着として、優しい感じもしますし、
女性の強さも感じられる気がします。

いろんな着こなしのできる更紗模様は、
コーディネート次第で年代を選ばずに着ることができる着物です。