着物は着たいけど着付けが難しい!
大丈夫!
着物の着付けは慣れです。
『着物が着たい』という情熱があれば、
すぐに着られるようになります。
さらに、その着物の寸法が自分にあっていたら、
より簡単に着られるようになります。
自分に合った寸法の着物こそが着やすい着物なのです。
着やすい着物の寸法の割り出し方をお伝えします。
自分で着るのが簡単な着物とは
着やすい着物とはどんな着物なのでしょうか。
デパートや通販で売られている洋服でしたら、
7号・9号・11号(メーカーによっては5号~17号くらい)
また、少なくとも S・M・Lなどといった規格サイズが豊富にあって、
バスト・ウエスト・ヒップ・身長・裄丈・股下・首回りなど
たくさんのチェックポイントがあります。
その中から自分のサイズに一番近いものを選ぶことで、
体型によりフィットした洋服を求めることが出来ます。
このような既製品の洋服はプレタポルテと呼ばれます。
自分のサイズを採寸してもらい、
体系にきちっと合ったサイズに仕立てて貰うオーダーメイドは、
オートクチュールです。
洋服は立体裁断です。
人の体には凹凸があって、丸みを帯びていますので、
体の形に合わせて生地を裁ち、デザイン通りに縫い合わせて作られます。
体形に合わせて作られているので、装着するのは簡単で、
いいろんなデザインで表現することが出来ます。
ところが、着物の場合は直線裁ちに裁たれた8切れの長方形の平面な布を、
ほぼ直線に縫い合わせて作ります。
最近でこそ仕立て上がりの着物(プレタキモノ)が出回っていますが、
寸法のチェックポイントは、身長と裄丈ぐらいで、
洋服ほどサイズ展開は豊富ではありません。
それは、
着物は寸法が多少違ってもその着付け次第で融通できることにあります。
確かに身丈や身幅は、
裾の合わせ方や腰紐の位置で少しくらいは何とかなるものです。
しかし、そのようにアバウトなものであるだけに、
着るときの技術が少し要求されるわけです。
お誂え着物とプレタ着物
プレタキモノが出現するまでは、着物というものはすべて反物か、
仮絵羽された状態で販売されているものでしたから、
100%がオートクチュールということになります。
今はもう、身近に和裁をする人が少なくなり、
着物の仕立ては専門職による特殊技術となってしまいました。
以前は、お母さんやおばあちゃんが、
家事のひとつとして家族の着るものを縫ったり仕立て直したりしていました。
着る人の体格や体型を完全に把握した人が縫うわけですから、
本当の意味での『お誂え』で、これ以上着心地の良い仕立てはなかったはずです。
今、呉服屋さんで着物を新調しようとするとき、
ちゃんと着る人の体型にぴったり合ったものを作っていただけるのでしょうか?
販売されている方が、どれほど着物の形と体型の関わりや、
着心地まで理解しておられるかは知りませんが、
やはり着付け方でいくらかは融通が利くということが前提にあって、
寸法のはかり方もいい加減になっているのではないでしょうか。
お洋服のお誂えならば仮縫いをしますが、
着物の場合はあまりしません。
それでいて、出来上がったときのたとう紙には、
大きく『お誂え』と書かれているのです。
洋服を買うときの自分のサイズは知っているのですから、
着物を選ぶとき、また新調する時のために、
ご自分の着物の寸法もはっきりと知っておいてほしいものです。
着物は着方で多少の寸法の融通は効くといったように、
着る人の着方や着こなし方、着るときの紐位置によって
着物の寸法の測り方 自分に合った寸法を知る
着物の寸法を測るとき必要な情報
着物の寸法を測るとき必要な情報は、
身長と裄丈、そして腰回り(ヒップ)です。
着物は腰回り以外、体にフィットさせて着るものではないので、
実際に寸法を測るところはそれだけです。
腰回りを測らなくても、体重がわかればそれでも大丈夫です。
裄丈
裄丈とは、肩幅と袖幅を合わせたものです。
手を真横に伸ばして、
首の後ろ中心から手首のくるぶしまでを測ります。
身体に厚みのある方(身長-100㎝より体重が多い場合)は、
5分(2㎝)ほど多めにします。
手を前に伸ばした時に肩の厚みで幅が取られます。
肩幅と袖幅の比率は袖幅の方が少し多い方が美しいシルエットになります。
身幅
美しい着物のシルエットを求めるのなら身幅は重要なポイントです。
着物が一番身体に沿っている部分、それは腰回り(ヒップ)です。
着物の腰回りは左右二枚の後ろ身頃と上前・下前の身頃と、
上前衽と下前衽で構成されていて、腰回りを一周半包みます。
ですから、
腰回りの寸法は
(後ろ幅x2+前幅x2+合褄幅x2)x3分の2ということになります。
合褄幅は、襟先の襟付け止まりの位置ではかる衽の幅のことです。
腰回りに緩み(5分程)を加えて、自分に合った寸法を割り出します。
衽幅
大人の場合、基本的に衽幅は4寸です。
小柄な方や余程スリムな方は2~3分(7㎜~1㎝)控えます。
衽幅は衽の裾廻での寸法で、腰回りの衽は合褄幅になりますので、
衽幅より小さくなります。
後ろ幅・前幅
後ろ幅は前幅より広くしますが、この差は1~2寸(3.5㎝~7㎝)までが無難です。
あまり差が多くない方が脇縫いの線が前に来なくてきれいですし、
特に胸の大きい方は、前幅と後ろ幅の差を少なくすると、抱き幅にゆとりが持てます。
これらのことを知ったうえで、例えばヒップ90㎝の人の身幅は次のように算出します。
1尺=37.8㎝で計算します。
90㎝=2尺3寸8分ですので、それを1.5倍します。…3尺5寸7分
そこから衽幅の2倍を引いて、半分にすると、…1尺3寸8分5厘ですので1尺4寸とします。
前幅と後ろ幅を足した寸法になります。
前幅と後ろ幅の差を2寸とするなら、前幅…6寸 後ろ幅8寸 となります。
褄丈(立褄)
襟先から裾までの長さは、ほぼ身長の半分が良いと思います。
短すぎるとおはしょりの下から襟先が覗き、
長すぎると襟先が第一腰紐にかからず、裾が乱れやすいです。
襟幅
広襟の場合は3寸の通し
バチ襟の場合は、衿付けの肩明きから肩明きまでが1寸5分
剣先のところで1寸7分、襟先で2寸が基本ですが、
小柄な方やスリムな方は全体に1分程控えます。
胸幅が必要な人は、広襟にしておくと、着るときに調節が効きますが、
バチ襟の方が着るときは簡単です。
広襟に仕立てておいて、着る前に仮止めして着ると良いでしょう。
繰り越し
着物は常に縫い直しができるように考えて作られています。
絵羽ものでなければ、前後を入れ換えて縫い直すことが出来るように、
肩明きの切込みを身頃の中心に入れて、
カラダの厚み分後ろに繰り越すために、背中側の帯で隠れる位置でつまみます。
これが抜き襟になります。
繰り越しの寸法は、体の厚みや好みの襟の抜き加減によります。
身丈
身丈は着物の出来上がりの丈のことで、
着丈は着物を着た時の方から裾までの長さです。
身丈-着丈=おはしょり分 になります。
身丈は身長の長さ~身長+10㎝くらいが着やすい寸法だと思います。
紐位置が高い人は多めに必要ですが、紐位置を低くすると少なくて済みます。
身丈が長すぎても着付けで調節して着ることはできますが、
身長に適した長さの方が着付けは簡単になりますし、着崩れも少なくなります。
袖付け
若い人は帯を高めに結ぶので、袖付けは少なめにします。
基本の長さは6寸ですが、身長が高い人はやや多めに、
また、体に厚みのある人も多めにします。
衽下がり
大人物は6寸が基本ですが、胸が大きい人は衽下がりを少なくすることで、
衿付けの角度が変わり、抱き幅が増えます。
袖の丸み
袖の丸みは個性を表現できるポイントですから、お好みで決めましょう。
着物の地風や、袖丈・袖幅とのバランスを考慮します。
着物を購入する時
仕立ての寸法は呉服屋さんにお任せという人が多いと思いますが、
自分に合った着物の寸法を知ったうえでチェックをすると、
呉服屋さんも『ただ者ではないな!』と、慎重に応対してくれると思います。
あとがき
着物は身幅や身丈など、多少寸法が合わなくても、
裾の合わせ方や紐位置の調節で着ることが出来ます。
でも、それだけに着るときの技術が要求されるのです。
それなら自分に合った寸法の着物を着ることで、
着付けが簡単で楽になるわけですね。