紬の風合いは大好きですが、
とくに牛首紬は最高です。
軽くて薄くて丈夫!
この良さは一度着たことある人ならわかるはずです。
そんな牛首紬がどこで、
どのようにして織られているのか、
牛首紬の特徴とともにお伝えします。
また、牛首紬のお洒落を楽しむときの、
帯の合わせ方についてもまとめてみました。
牛首紬とはどこで織られている紬
牛首紬は、
日本三霊山の一つ 白山の麓・白峰地方で織られている絹織物です。
現在の白山市白峰 牛首村で織り出されたために、
『牛首紬』『白山紬』の名前があります。
平家の落人伝説もある牛首村は、
古くから養蚕や手織り紬の盛んなところで、
平安時代末期から始まったとされていますが、
この牛首紬が商品化されたのは、江戸時代に入ってからの元禄年間です。
日本有数の豪雪地帯であるこの地方では、
もともと織物は農閑期の副業だったのです。
蚕の餌となる桑の木は、天然では高木になるのですが、
雪深い白峰では雪に押し倒されて根元から曲がって育つため、
高くは育たず、葉を収穫しやすかったこともあり、
白峰では古くから養蚕業が盛んでした。
上等な繭は生糸や羽二重にするため出荷され、
残った玉繭を利用するために織り始められたものが牛首紬の始まりなのです。
牛首紬の特徴はどんなところ
牛首紬の生産量は少なかったようですが、
それでも最盛期の大正期には、年間に七千反以上も作られたといいます。
牛首紬は、生地が釘に引っかかっても破れないばかりか、
むしろ釘を引き抜くほど強いと言われ、
丈夫な牛首紬は『釘抜紬』の名前で売られていました。
牛首紬は、2匹の蚕が一つの繭をつくった『玉繭』から、
直接手で糸を引き上げます。
玉繭は2~3%の割合で自然発生するものです。
この繭からは2本の糸が取り出せるので、
太くてしっかりした玉糸ができます。
また、一般的に紬は真綿にして糸を紡ぎますが、
牛首紬は、煮繭から直接、座ぐりで糸を引き出します。
糸が二本出て絡むので、調整しながら糸を引くのは高い技術を要しますが、
白峰の人々は先祖伝来の技でこの繭から直接糸をつむぎます。
節のある太い糸ができるので、紡いだ糸をよこ糸とし、
通常の絹糸をたて糸として織り上げます。
この糸を織ると、節の浮いた強くてしっかりとした、
独特の質感を持つ、光沢のある生地が出来上がります。
艶のある生地は、丈夫で軽く、すべりの良い生地質が、
着心地の良いきものとして牛首紬の魅力のひとつになっています。。
糸を染めてから織る先染めの織物として、
植物染めによる済んだ地色の縞柄が多いのですが、、
近年は染め下地に用いる白生地も織られています。
牛首紬の白生地は、主に京都の運ばれ、
染め加工がされます。
牛首紬の着物に合う帯は何?
『紬を着こなしてこそ、きもの好き』といわれ、
紬は着る人の個性を表現するお洒落なきものです。
牛首紬もそうですが、かつて紬の多くは、
養蚕農家が商品化できないような繭糸(くず糸)を使って織ったことから
長い間、普段着の着物とされてきました。
現在では、紬織りの伝統的技法の素晴らしさが高く評価されるようになって、
後染めの紬や訪問着形態の先染め紬も生産されるようになりました。
そのために紬は、普段着からお洒落着、
さらには社交着という広がりのある着物としての立場を得るようになり、
紬愛好家もずいぶん増えてきたようです。
牛首紬やほかの紬も、礼装として用いることはありませんが、
カジュアルなお洒落着や普段着として、
また、ちょっとしたパーティーやお呼ばれに、上手に着こなせば、
人々の目を引くことは間違いありません。
牛首紬は、紬の中でも艶やかな光沢があり、
薄くて軽く、それでいて丈夫でシャキッとした質感が特徴の着物です。
そんな牛首紬に帯は、染め帯の名古屋帯、
もしくは、金銀の入らない織りの袋名古屋帯を合わせます。
染め帯を合わせると、
全体を優しくまとめ、柔らかな雰囲気になり、
色や柄の用い方で華やかさも表現できます。
紬の帯や博多帯の袋名古屋帯を合わせると、
カジュアルな感じになります。
お出かけ場所や場面に応じて、帯で雰囲気を変えることができます。
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あとがき
やはり紬を着こなしてこそ、着物通を自称できます。
牛首紬は丈夫なので、普段着にしても着古した感じがしません。
先染めの牛首紬はもちろんですが、
後染めの牛首紬も、地風がしっくりしていて、
幅広い年齢層で着ることができるので、
母娘で共有するのもいいですね。