家紋とは誰がいつから使うようになったかのか?種類とルーツの調べ方は ?

文様と柄

自分の家の家紋をご存じですか?

剣片喰、抱き茗荷、五三の桐…
色々ありますが、
今の時代、家紋を用いるということが少なくなっています。

家紋が必要な場面が少ないので、
自分の家の家紋を知らないという人も増えてきていますが、
ご先祖様にとっては大切なものなのではないでしょうか。

この家紋というものは、
いつだれが使うようになったのか、
そのルーツについてお伝えします。

  

家紋とは誰がいつから使うようになったのか

家紋の起源は古く、平安時代後期にまで遡り、
平安貴族が牛車に付けた印が起源なのです。

平安時代、貴族たちは宮廷の儀式や、
有力貴族の祝い事などに出かける時、
牛車を持つことがステータスでした。

その時、公家の人たちにとって、
同じような牛車がたくさん集まるので、
自分の家の牛車がどれだかわかるように、
好みの「紋」という目印をつけ、
さらに優美なデザインで周囲に権威を誇示するために、
印としてつけたのがはじめりといわれています。

最初に牛車の印を用いたのは、
藤原実季(ふじわらのさねすえ)であるという記録が残っています。

ということで、
牛車の印は、十二世紀前半 貴族の間に広まり
しだいに家をあらわす“家紋”という印になりました。

公家の牛車が“家紋”の始まりということですが、
武士はふつう馬を使い、牛車には乗りません。

武士が家紋を用いるようになったのは、
公家よりも遅く、
源平の対立が激化し始めた平安末期に、
戦場において自分の働きを証明したり、
名を残す自己顕示のため、各自が考えた固有の図象を、
旗幕、幔幕にあしらったことが、
その始まりであったと考えられています。

公家社会では、
家紋を家ごとに相続していくかたちが先に作られました。

そのあとで公家が名字を用いるようになると、
名字は特定の家紋を相続する家の名称と考えられていました。

これに対して、武士の多くは、
名字を用いはじめたのちに、
“旗印に使う家紋”を相続するようになりました。

そこで武士たちは、
“家紋”は名字にちなむ印と考えていました。

この違いは、室町時代の末まで残ったのですが、
そのために、
江戸幕府が成立する以前の公家は、
武士よりも家紋を重んじていたのです。

このあと、
『公式の場では紋服によって自分が誰かを明らかにせよ』
という江戸幕府の命令が出されたのです。

この法令の基づいて、
武士は公家以上に家紋に注意を払うようになったのです。

家紋でご先祖様を知る

家紋は、
自分の家の信仰や出自をあらわすものだとされてきました。

日本で最も多い名字は『佐藤』さんなのですが、
佐藤と名乗る家の多くは、
自分の家は、藤原氏の出であることを示す
“上がり藤の紋”を用いています。

『佐藤』さんの次に多い名字は『鈴木』さんで、
普通、鈴木さんの名字を持つ人は、
熊野信仰にまつわる“抱き稲紋”という紋を使っていました。

何かの都合で、佐藤さんや鈴木さんという名字から、
ほかの名字に変えた家もありますが、
その場合でも、自分の家の由来を示す家紋を、
そのままにしていることが多いのです。

ですから、佐藤さん以外の名字でも、
“上がり藤の紋”の紋を持つ家の人は、
「自分の家が、もとは『佐藤』だったのではないか?」
と考えてみる必要があるのです。

このように、自分のご先祖様について調べる時、
名字から調べるより、家紋から調べる方が、
より確かな手掛かりになることが多いのです。

家紋の種類

家紋は日本固有の文化で、
自らの家系や血統、家柄や血筋、身分や地位などをあらわし、
その種類は、約350種類あり、
変化のバリエーションがあって、2万4千の数になっています。

「平安紋鑑」という紋帖には、およそ4千の家紋が載っています。

家紋の種類は、
藤や橘、牡丹や竜胆、
桐、菊、葵、柏、蔦、銀杏、稲、梅、片喰などの『植物紋』

雁金や鶴、雀、千鳥、鷹の羽、蝶、猿、などの『動物紋』

波、星、月、日、雷『天然(天地)紋』

団扇、扇、笠、槌、銭、分銅、枡、矢『調度(器財)紋』

鱗、亀甲、七宝、筋違、巴、卍『文様紋』

引き両、菱、目結、輪『文字(図符)紋』

庵、鳥居、石畳、井桁、五輪塔『建造紋』などがあります。

また、
その家紋に込められた願いの種類によってわけることもできます。

家紋は“家”を表していて、家紋は“御守”であり、
五穀豊穣や武勇、
縁起などを願うものです。

日本の家紋のうち、最も広く用いられている
10つの家紋のことを『十大家紋(じゅうだいかもん)』といい、

十大家紋には、
柏紋、片喰紋、桐紋、鷹の羽紋、橘紋、蔦紋、藤紋、
茗荷紋、木瓜紋、沢瀉紋 を指します。

あとがき

家紋には、それぞれ先祖から伝えられ、
また、込められた想いや意味があります。

あるとき、一家のことを想い、
祖先が家紋として決められ、
そして、その紋が今日まで引き継がれてきました。

今や家紋については法律も何もありません。

また、昨今では滅多に着ることがなくなったため、
黒留袖などはレンタルする方も多いですが、
レンタルの黒留袖には慣例的に
「五三の桐」の家紋が使用されていることが多いようです。