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家紋とは?紋付の着物の種類と格の違い TPOに応じた礼装と略礼装の紋について

家紋にはいろんな図柄があります。
家紋の付いた紋付の着物にはどんな種類があって、
それはどういう着物なのか、
格の違いや紋の付け方、
着物の特徴について、
TPO に応じた礼装や略礼装の紋について、
わかりやすくまとめてみました。
  

家紋とは

紋は家の印として儀礼的な装飾に用いるもので、
現在も着物や調度品などに付けられています。

紋の起源は平安時代の中期ごろで、
動物や植物、天文、器、文字などの形をとって衣服や調度品、武具などに付け、
持ち主を明らかにしたことから始まったとされています。

貴族は装束や車などに特定の模様をつけて自家のシンボルとしましたが、
後に、武士も戦場での目印として、
紋の付いた幟(のぼり)や旗を用いるようになりました。

江戸時代になると、武家の家柄を表すのに必要なものとして発達し、
衣服に紋を付ける習慣が定着しました。

やがて一般庶民の間でも、装飾用に紋が使われるようになり、
礼服には紋を付けるという明治以降のしきたりが、
現代でもそのまま受け継がれているのです。

https://matunomidori.work/312.html

紋付の着物 種類と格の違い

着物に付ける紋にはさまざまな種類があり、
その種類に応じた格付けがなされています。

紋の格は、技法と図柄の表現方法によって決まります。

紋を表す技法は、染と刺繍に大きく分かれますが、
染の紋には紋の形を白く染め抜く『染め抜き紋』と、
色で紋を描く『描き紋』があります。

染め抜き紋が最も格が高く、
ほかの染め紋や、刺繍による繍紋(ぬいもん)は略式となります。

また、図柄は正式な家紋と、
好みで付ける趣味的な『洒落紋』があります。

紋の表し方には『日向紋』『中陰紋』『陰紋』があり、
日向紋が格が高く、次いで中陰紋、陰紋の順になります。

最も格が高い染め抜きの日向紋は、紋の中を白上げ(石持ち)にして、
輪郭や詳細を細い線でかたどったもので、
礼装には必ずこの紋を用います。

染め抜きの陰紋は、
紋の図柄を白い細い線で表したもので略式の紋です。

染め抜きの中陰紋は、陰紋より太い白い線で図柄を表したもので、
日向紋と陰紋の中間の略式の紋となります。

一方、刺繍の家紋は染め抜きの紋より略式ですが、
色無地や訪問着に付ければ略礼装となります。

染め抜き紋ほどはっきりとした格の違いはなく、
『菅繍』『相良繍』などの多彩な刺繍技法があります。

紋付の着物 TPOに応じた礼装と略礼装の紋

最も格が高いのは五つ紋付きで、
三つ紋付、一つ紋付の順に低くなります。

きものの種類に応じた紋の種類や数の目安をまとめました。

黒留袖に付ける紋

黒留袖は既婚女性の第一礼装です。

正式の家紋の染め抜き日向紋を五つ付けるのが決まりで、
白い下重ね又は白の比翼仕立てとします。

紋を実家の紋にするか、婚家の紋にするかは、
地方や家によって異なります。

五つ紋を付ける位置は、
背縫いの衿付けより1寸5分下がったところ。
両袖の後ろ側中心の袖山より2寸下がったところ
前身ごろ両胸の中央で4寸下がったところの五か所です。

黒留袖は共八掛で、八掛(衽の裏側)にも柄が入っています。
染からのお誂えでなければ、仮絵羽状態で売られていて、
紋の位置は、石持ち(こくもち)といって、黒に染めず白く残っています。

喪服に付ける紋

現代の正式な喪服は、黒無地の五つ紋付です。

喪服は弔事の第一礼装ですから、
必ず染め抜きの紋を五つ付けます。

不祝儀でも陰紋は付けません。
黒留袖と同じように喪服も染め抜きの五つ紋を用いますが、
喪服には比翼や下重ねは用いません。

色留袖に付ける紋

色留袖は、TPOにより様々な紋が付けられます。

格の高い柄行の色留袖に染め抜きの五つ紋を付けると、
黒留袖と同格の第一礼装になります。

染め抜きの三つ紋を付ければ、重厚な準礼装として、
披露宴やパーティーなどで着用することができます。

色留袖は三つ紋以上の場合、
黒留袖と同じように比翼仕立てにするのが一般的です。

また、染め抜きの日向紋で一つ紋の場合は、
訪問着感覚の社交着として、幅広く活用できます。

柄行によって、より気軽に装いたい場合は、
中陰紋や陰紋、繍紋を付けたり、染め紋で洒落味を加えることもできます。

訪問着に付ける紋

訪問着は社交の場で最も活用できる着物です。

格のある古典柄なら、染め抜きの一つ紋を付けておくと、
準礼装として披露宴などにも着ることが出来て重宝します。

豪華な柄行の訪問着なら三つ紋を付けておくとよいでしょう。

また、軽い柄行の訪問着や、気軽に着たい訪問着には、
中陰紋や陰紋、染め紋、繍紋などを付けて、
軽めの社交着として着こなしてもよいと思います。

きものの格や紋の付け方は、柄行や豪華さで判断するのがポイントです。

色無地・江戸小紋に付ける紋

色無地は柄がないだけに紋が重要な意味を持ちます。

染め抜き紋から洒落紋まで様々な紋を付けることができ、
紋による格や印象の違いがはっきりと表れます。

染め抜きの三つ紋ならば準礼装に、
一つ紋ならば略礼装に用いることが出来ます。

また、日向紋のほか中陰紋や陰紋などもあり、
控えめな印象にする場合は繍紋も好まれます。

江戸小紋は、小紋といっても格があり、
『鮫小紋』『行儀』『通し』の小紋三役をはじめ、
細かく格の高い柄ならば一つ紋を付けて略礼装になります。

紬に付ける紋

紬はカジュアルな着物ですから、
基本的に紋は入れません。

ただ最近では、紬地に模様を染めた着物や、
凝った織り絵羽着物に人気があります。

カジュアルな着物ですが、実は凝った技術が施してあり、
上等なおしゃれ着ですから、こうした着物には繍の洒落紋を付けたり、
繍紋を一つ付けることがあります。

また、無地の紬に繍紋を一つ付ければ、軽い茶会などに向く着物になります。

https://matunomidori.work/802.html

あとがき

紋付の着物を着るような、
正式な場所は行き慣れていませんから、
紋付を着た時は少々緊張します。
でも、
この緊張感がアンチエイジングに良いそうですよ!

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