着物の着付けが難しいのは、
おはしょりを作って着付けなければいけないから。。。。
ではなぜ、
おはしょりを作って着付けなければいけないのでしょうか。
着物を着るときの着丈を調節するため?
自分の着物なら、初めから自分の寸法に合わせて作ればいいですよね!
でも、実はおはしょりには、
着物を着るときの重要な役目があるからなのです。
着物の着付けでおはしょりを作る意味と、
着物のすそあわせを上手にして、
美しいシルエットの着姿になってください。
着物の着付けでおはしょりは必要か?
『おはしょり』とは、
『からげ』と呼ぶこともありますが、
それは『すそからげ』のことで、
自分の着丈より長い着物を、裾の丈までに紐で手繰って着付けた時、
胴回りのところにできる折返しのことです。
着物を着付けるとき、腰紐を使って着るのですが、
ここが洋服との大きな違いで、
チョットだけ着るのがむずかしくなる原因です。
でもその分、多少寸法が合わなくても、
着ることができるというところが着物の特徴です。
『大は小を兼ねる』って言いますけど、
子供の着物を大人が着るのは無理ですが、
大人の着物を子供に着せようと思えば、
着せられないことはありません。
日本の和服と言われる着物の形を考えてみてください。
すそあわせだけを見ても、
浴衣の場合ですと、くるぶしぐらいの長さに着付けますが、
振り袖や訪問着などの礼装ですと、
床ギリギリの丈に着付けます。
それなら初めからちょうどいい長さに作ってあれば、
おはしょりを作って長さを調節する必要はないですし、
もっと簡単に着ることができそうな気がします。
だったらなぜ、着物におはしょりがあるのか?
ですよね!
テレビや映画の時代劇を見ると、
お姫さまや大奥の御女中、大店のお嬢さんやお内儀が、
長いすそを引きずっている姿を見ることがあります。
舞妓さんや芸妓さんの着物も『お引きずり』と言われる、
丈の長い着物です。
しかし、
武士や町人など、男の人が裾を引く姿は見られませんし、
町娘や市井のおかみさんなども、
裾を引いていたのでは暮らしていけません。
行動を制限されている人や、
優雅に暮らしている人が裾を引いていたのです。
裾を引いて着物を着付ける場合、
おはしょりはありません。
着物におはしょりがあるのは、
着物を着て活動的な生活を送っている人のためのものなのです。
毎日を着物で過ごしていると、着物は傷みやすく、
裾が擦り切れてしまいます。
そんな時、擦り切れたところを取り除けばいいので、
着物の丈が長ければ、着続けることができます。
そもそも着物にする生地を、
贅沢に手に入れることはできませんでしたから、
一般の町衆が裾を引くということはできなかったのですが、
おはしょりは、裾が擦り切れた時のための補充分でもあったのです。
そして、着物におはしょりが必要な理由は、
おはしょりがあることで着物が着崩れしにくいということです。
着物の着付けは、
下前と上前のすそをあわせて、
胴のところで第一腰紐を締めることですそあわせをします。
このとき、あまった着物の身丈を折り返し、
もう一本腰紐(第二腰紐)を締めることでおはしょりを作ります。
おはしょりが、
第一腰紐の下で着物が動くのを抑えてくれます。
対丈の着物を一本の紐で締めただけでは、
あわせたすそが戻り、裾が開いてしまいやすいのです。
あともう一つ、
着物におはしょりが必要な理由というよりは、
おはしょりがあることで、ごまかせることもあるからです。
女性は加齢とともにお腹周りのお肉が気になってきます。
若い女性は胸高に帯を締めますが、
年齢とともに帯の位置は低めにするほうが落ち着いて見えます。
そして、帯の下におはしょりがあることで、
ポッコリお腹が目立ちにくくなるという利点があるのです。
ですから、着物を着付けた時、
このおはしょりがスッキリとしていると、
お腹周りもスッキリと見えるので、
着物姿が美しく感じられるというわけです。
また、おはしょりの長さによっても、
全体の姿の見え方が随分変わってきます。
帯の下から5~6㎝覗いているくらいが美しいかと思いますが、
その人の体格によっても違ってきます。
着物は着てみたいけど、着るのが難しくて着られない!着付け(着るとき)に時間がかかってしまう!なんとか着ることができても、すぐに着崩れてしまう!だから、『着物は着てみたいけど着られない』そう思っている人が多いようです。ですから、着物着付けという仕事ができたり、着付け教室というものがあったりするのですが、着物自体を着やすく改造するという方法もあります。お手持ちの着物に数か所 ひもをつけるだけで、簡単に着ることができる着物に改良できる方法をお伝えします。 当時の日本女性にとって着物は日常着だった明治... 着物を着たいけど着られない人が着物生活を始めたいなら簡単着物に改良しよう - きもの お着楽ざんまい |
着物の着付けで身丈によるのおはしょりの作り方
着物を着付けるとき、着物の着丈の長さによって、
おはしょりとして残ってくる部分の長さが違います。
着物の着丈は長いのに、背の低い人は、
おはしょりになる部分の長さがたくさんあり、
逆に、身長に対して着物の長さが短いときは、
おはしょりにする部分が少ししかありません。
着物の丈がたくさん余る場合は、
第二腰紐を締めた後、たくさん残った部分を持ち上げて、
おはしょりを作り、
持ち上げた部分を伊達締めで整え、帯の下に納めます。
この残った部分が多すぎるときは、
第一腰紐を締めた後に、その紐より上の位置に、
もう一本腰紐を締めてから折返し、おはしょりを作ることもできます。
着物の身丈が短い場合は、
第一腰紐を、少し下目に締めることで、
おはしょりの部分を作ることができます。
ただしこの時、第一腰紐が不安定な位置にならないように、
気を付けなければいけません。
着物の下に補正として薄いタオルを巻くことで、
腰紐をきつく締めすぎなくても、紐位置が安定しやすくなります。
着物の着付けときれいなおはしょりの作り方のコツ
お引きずりの着物を着て生活するようなことはないと思いますが、
できれば普段の生活で、優雅に着物を着こなしたいものです。
着物の着付けが難しい理由の一つが、
『おはしょり』の存在ではあるのですが、
おはしょりがあることのメリットもわかっていただけたと思います。
着物を美しく着るために、
この『おはしょり』を上手に作る方法をマスターしましょう。
『おはしょり』を作る前に、
着物の着付けで肝心なのは“すそあわせ”です。
美しい着物の着付け、そのポイントはシルエットです!
ドレスならば、ボッ、キュッ、ボ~ンという感じですが、
着物の場合は『ずん胴』が美しいとされています。
でも、ただずん胴なだけでなく、
裾すぼまりのずん胴です。
着物を裾すぼまりに裾合わせをするには、
着物の裾丈を床ギリギリにあわせ、下前と上前を合わせていくのですが、
着物の立褄が体につくところで、
褄先を床から10㎝ほど上げて合わせます。
そうすることで着物の裾はすぼんだようになり、
美しいシルエットが作れるのです。
下前も上前も立褄の先を、
床上がり10㎝に合わせて第一腰紐を締めます。
この後、襟を合わせて胸紐を締め、
着物の着丈の残りの部分でおはしょりを作るのですが、
このおはしょりがモコモコしていたり、
捲れあがってくると美しくありません。
おはしょりの中に芯を入れたりする方法もありますが、
布地の性質をうまく使えばそんな必要はありません。
第一腰紐ですそあわせをした後、襟合わせをするのですが、
この時、下前のおはしょりになる部分を、
着物の下の長襦袢の紐などにちょっと引っ掛けるようにして、
襟合わせをすると、おはしょりの中に下前の生地がなくなるので、
おはしょりが嵩張らずに作れます。
上前の見頃と上前の衽でおはしょりを作るのです。
キレイなおはしょりを作るには、
おはしょりの船底(折返しの下の線)が布の地の目に沿っていないと、
斜めに捲れやすくなります。
しかし、裾すぼまりにするために、第一腰紐を締めるときに、
立褄を10㎝持ち上げましたから、
第一腰紐の位置では着物の地の目は真っ直ぐではありません。
第一腰紐の右の腰のところで、二重になっている紐の間から、
おはしょりにする部分の襟側の生地を少し引き出します。
10㎝持ち上げたのですから5㎝程です。
引き出した部分が嵩張らないように伸ばして、
下側の第一腰紐の下からツッコむようにして納めておくと、
すそあわせも、より崩れにくくなります。
すると、おはしょりの船底になる部分の地の目は、
第一腰紐に対して揃うようになるので、
キレイなおはしょりを作ることができるのです。
https://matunomidori.work/1045.html
あとがき
昔の中国の偉い人の袖は随分長かったそうです。
何をするにも袖が邪魔をしそうだと思ったのですが、
そういう偉い人は
何にもしなくていい人だということを聞いたことがあります。
今の洋服はデザイン重視かも知れませんが、
昔の人が考えた着物には、
随所に理由や意味があるようですね。