羽織を着る季節はいつで道行コートとの違いは?種類やコーデのコツとアレンジ

着物の楽しみ方

羽織をうまく着こなせたら、
きものの装いは、もう一人前ですね!

そんな羽織を着る季節はいつからなのか、
また、羽織や道行、道中着といったコートの、
装い方の違いは何なのかをお伝えします。

羽織にはどんな種類があるのか、
装うときのコツやコーディネートの楽しみ方などをまとめてみました。

  

羽織を着る季節はいつで道行コートとの違いは?

羽織を着る季節は、

『もみじに着て、さくらで終う』と言われるように、
秋も深まる紅葉の季節になると、少し肌寒さも感じるようになり、
羽織が恋しくなる季節です。

また、三月も終わりごろになると、桜の便りも聞かれるようになり、
羽織を脱いで、春の日差しを浴びたくなります。

羽織は、ジャケットやカーディガンのようなものです。

道行コートは訪問先の玄関で脱ぎますが、
羽織は脱ぐ必要はありません。

きもの用の防寒着としては、
羽織や道行コートなどがありますが、
道行コートは、
洋服で言うオーバーコートやトレンチコートのようなものです。

コートは道行と道中着が主流で、その違いは衿の形です。

羽織・・・
着物の上に着る丈の短い上衣のことで、羽織の身丈は流行によって変わり、
ひざが隠れるほど長いものは長羽織と呼びます。

道行コート(みちゆきこーと)・・・
四角い道行衿のコートは、留袖や訪問着などの、
フォーマルな着物に合わせる場合が多い防寒着です。

道中着(どうちゅうぎ)・・・
胸元がスッキリと見える広衿の道中着は、
留袖から小紋まで幅広く着用することが出来ます。


羽織の種類 素材や柄付けと用途の違いは?

黒無地に一つ紋や三つ紋付きの羽織は礼装用、
黒以外の色無地に紋を付けたものは略礼装になります。

絵羽織は訪問着と同じように、
後ろの模様が一枚の絵のように描かれたもので、
おしゃれ着用に着用します。

昭和三十年代には、黒絵羽織が人気でしたが、
現代は絞り染めや友禅染、
刺繍が施された絵羽織などを見かけることが多いようです。

普段着の着物には、
小紋柄や絞り、紬の羽織などがよく合います。

きものでアンサンブルと呼ばれるのは、
きものと羽織を同じ生地で仕立てたもので『お対』とも呼ばれます。

『お対』は男性の着物に多く見られる形ですが、
女性用の着物でも、黄八丈や大島、結城などの紬で『お対』に仕立て、
おしゃれ着の装いとして用いられます。

羽織は元々、男性のもので、
女性の着用が許されたのは明治時代に入ってからのものでした。

それが大正時代になって、
良家の子女の間で、
羽織なしでは外出しないといわれるほど大流行しました。

現在は、
模様が縫い目で途切れず、
一つになるように描かれたよそ行き用の絵羽の羽織や、
気軽に着られる小紋柄の羽織、紬の羽織などがあります。

戦後、昭和の中頃までは、
子供の入園式や卒園式、入学式や卒業式に出席する母親は、
多くの方が黒い羽織を着られていました。

戦争中は着物を着ることが出来ませんでしたが、
戦後になってきものを着るという衣服生活が復活してきました。

卒業式のある三月は、時期的にまだ羽織を着用する季節なので、
十日町の黒絵羽織が、
あっという間に学校の式服(略礼服)として定着しました。

帯結びに自信のないお母さんも、羽織を着ることで、
子供のために飛びっきりのお洒落をしたのでしょうね。

女子の羽織は、それまで道中着の範囲を出ない物でしたが、
男子の黒紋付羽織にあやかって、式服の意味づけをしたようです。

さらに衣服生活が豊かになって、
式服の代わりに黒羽織を着るという風習も、
訪問着や色無地の帯付け姿にとって代ったようです。

帯付け姿というのは、
羽織を着ない姿のことです

羽織を装うときのコツとおしゃれなコーディネートの楽しみ方

かつて、紋付の黒羽織を準礼服として、
多く見かける時代がありました。

その後、羽織を着る人が少なくなっていましたが、
最近は若い方が、おしゃれの演出として、
長羽織をコーディネートしている姿を見かけます。

クラシックな趣が漂う羽織を、もっとおしゃれに着こなすために、
羽織のミニ知識をご紹介します。

羽織を着るときにはちょっとしたコツがあります。

羽織は肩で着るのではなく、腰で支えるつもりで着ると、
首がスッキリと伸びて、羽織姿を美しく見せてくれます。

羽織の裏地には、
『羽裏』というすべりの良い生地を付けます。

羽織は、コートなどと違って外出先で脱ぐ必要はありませんが、
きものを愉しむ人にとって、
羽裏に凝るのは密かな楽しみのひとつです。

羽織用の裏地に拘らず、小紋や友禅の着物の柄から選ぶのも、
ひと味違った個性的な羽織としておしゃれ度がアップします。

羽織の紐は、着た時に帯締めと重なるので、
それ自体があまり主張しないぼかし染めのような羽織紐が無難です。

羽織紐の色は帯締めとケンカしないように、
同系色か同色の濃淡を用いると合いやすいです。

羽織の紐は組み紐のほか、
金の鎖や珊瑚、象牙やパールなどもあります。

クラシックな趣が漂う丸ぐけの羽織紐は、
ボリューム感があるので、
縮緬素材の羽織に合わせると良く調和します。

羽織紐は、きものや羽織の素材や色柄、
用途に合わせて選ぶようにしましょう。


あとがき

一時期、
普段にきものを着る人が少なくなった時がありました。

着付けが難しい、帯がうまく結べないといったことから、
敬遠されていたようですが、
昨今、若い女性が普段着やおしゃれ着の着物を、
個性的に楽しく着こなしています。

きもののファッション性に、無限の可能性を見つけた様に、
それぞれの着こなしを楽しんでいます。

大正浪漫調と言われる大正時代の雰囲気を伝える
アンティークな着物きものには、
ひざ下まであるような長い丈の羽織がマストアイテムです。

大胆な柄と鮮やかな色遣いの着物や羽織が、
現代人のファッションセンスを擽ったのでしょうか。